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胆石のはなし(2009年8月25日掲載)

豊見山 健・沖縄赤十字病院

右上腹部の激痛に注意

皆さんは胆石と聞いてどのような事を想像されるでしょうか? おなかの中に石があって、おなかが痛くなるイメージでしょうか。

胆石症は一般診療ではよく見かける疾患で、日本では、食生活の欧米化や高齢化により増加し、成人の約10%に達するといわれています。また、紀元前のミイラからも発見されており、昔からある病気のようです。

胆石とは胆汁の通り道にできる結石の総称で、結石のある場所により肝内結石、胆管結石、胆のう結石と呼ばれており、胆のう結石が約80%と最も多くなっています。

胆石は成分によってコレステロール石、ビリルビンカルシウム石、黒色石に大きく分けられます。コレステロール石は最もよく見られる結石で、肥満、加齢、女性、食生活(高脂肪食)、経口避妊薬などが危険因子とされています。ビリルビンカルシウム石は細菌感染と関係し、黒色石は溶血性貧血、肝硬変、胃切除術後などと関係するとされています。

最も特徴的な症状は、疝痛(せんつう)発作といわれる激しい右上腹部痛です。天ぷら、焼き肉料理などの脂肪分の多い食事を食べた後に出現することが多いです。急激な症状ではなく、右肩や背中の痛みで整形外科を受診したり、吐き気や胃もたれ、腹満感などで受診して見つかることもあります。

胆石症が疑われる時には腹部超音波(エコー)検査を行います。ほとんどの胆石はこの検査でわかります。

無症状の場合は原則として経過観察ですが、胆のうの石が大きかったり石が充満している場合や胆のうの壁が厚くなっていたり、胆のうがんを伴いやすい先天性の胆道系の合流異常がある場合は手術を勧めます。

症状がある場合は、経口胆石溶解療法、体外衝撃波胆石破砕療法、手術治療などの治療法があります。それぞれ長所短所がありますが溶解療法と衝撃波破砕療法は胆石の種類や胆のう機能など条件があり、すべての患者さんが適応になるわけではなく手術が一般的です。急性胆のう炎などを合併した場合も手術の適応です。

手術は腹腔(ふくくう)鏡下胆のう摘出術と開腹胆のう摘出術があります。最近では腹腔鏡(カメラ)を用いて、胆のうを摘出する方法が第一選択となっています。開腹手術に比べ、術後の痛みが少なく、回復が早い、傷が目立たないなどのメリットがあります。炎症が強いなど腹腔鏡手術が困難と考えられる時は、開腹胆のう摘出術(おなかを大きく切る)を行います。

典型的な疝痛発作が出た時は内科や外科を受診し、慢性的な症状がある場合も一度は受診して適切な治療方針を相談するのがよいと思います。