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妊婦の健康管理(2009年8月18日掲載)

上原 真理子・県福祉保健部国保・健康増進課

14回の公費健診活用して

沖縄県は長寿で有名になりましたが、出生数の多いことでも知られています。2007年の出生率(人口千対)は全国8・6に対し12・1で全国一、先日発表された08年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子供の推定人数を示す)についても、1・78(全国平均は1・37)で全国一でした。合計特殊出生率については、統計を取り始めて35年連続の1位であり、喜ばしいことです。また、沖縄県における周産期保健医療体制の充実等に伴って、乳児死亡率、新生児死亡率の減少など母子保健指標も改善されてきています。

しかし、その一方で低体重児の出生率は高い状況で推移しております。低体重児出生の要因については多くのことが関連すると思われます。例えば母子健康手帳交付を早期(妊娠11週以内)に受け、健診・保健指導を受けることが重要ですが、早期届け出は74・5%で、数%に28週以降交付や分娩(ぶんべん)後交付があること、10代の妊娠が全国の約2倍(07年2・6%、全国は1・4%)であること、妊娠中も禁煙の困難な方がいることなどさまざまな要因があると思われます。

健康増進課が08年12月から本年1月に約858人の入院中産婦を対象に実施した、妊娠中の振り返り調査では、妊娠中に気をつけるべき「破水」や「強い頭痛」などの症状について、十分に認知されていない実態が判明し、異常を異常と気づかないことが低体重児出生につながっている可能性も示唆されました。

そこへ今般、2回しかなかった公費妊婦健診が08年度から5回へ、09年度からは14回にまで拡充されました。拡充の背景として、高齢出産やストレスを抱える妊婦が増加傾向にあること、就業等の理由により健康診査を受診しない妊婦が見られること、少子化対策の一環として妊娠中の健診費用の負担軽減が求められていることなどがあります。

この14回は出産までに必要な健診の回数であり、経済的理由などから健診を受けずに病院に駆け込む「飛び込み出産」の防止にもつながると期待されています。ちなみに、妊娠23週までは4週に1回、24週から35週までは2週間に1回、36週以降は毎週受診で14回となります。

妊婦さん自身がこの拡充された健診を十分に活用して健康管理をすること、気になる症状があればすぐ相談することが大事です。周囲の環境整備として、喫煙の問題も私たち保健医療関係者はじめ地域全体で取り組むことが重要であると考えます。