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予防接種(2009年6月16日掲載)

具志 一男・ぐしこどもクリニック

はしかにならない、させない

新型インフルエンザで騒がれている昨今ですが、予防接種世代の子どもたちにとっては、今回の新型インフルエンザよりも感染しやすく、重症化しやすいのが麻疹(はしか)です。

はしかは、麻疹ウイルスの感染により、約11日間の潜伏期間を経て、発熱、咳、鼻汁などで発症、3、4日後に全身に発疹の出現、高熱がさらに3、4日間続くつらい病気です。空気感染で、同じ部屋にいただけでもうつります。肺炎や脳炎、中耳炎などの合併症も多く、1千?5千人に1人は死亡したり、後遺症を残して、失明、発達遅滞となることもあります。残念ながら、根本的な治療法はなく、症状を和らげるような治療しかありません。

予防接種を受ければ、98%以上の人が、かからなくなります。さらに、95%以上の方が接種をしていれば、その地域での流行はなくなります。麻疹ウイルスは、人にしか感染せず、ほかの動物に感染しないため、予防接種で人での発生を防止できれば、天然痘のように根絶可能な疾患です。現在、世界的にはしかの根絶に向けての活動が盛んで、世界保健機関(WHO)では2012年に西太平洋地区でのはしかの排除を目標としています。

日本でも、定期接種となっており、06年度からは麻疹・風疹(MR)混合ワクチンとして1歳代(1期)と小学校入学前の1年間(2期)の2回、無料で接種が受けられるようになりました。しかし、その後も全国的に高校生や大学生のはしかの流行が続き、08年度からは、中学校1年生(3期)と高校3年生相当の年齢の方(4期)にも2回目の追加接種が無料で行われるようになり、06年度以前に小学校に入学した児童たちにも抵抗力の強化が行われるようになりました(12年度まで)。

初年度の昨年は沖縄県では、12月の段階で3期の接種率は、62%で47都道府県のうち41位、4期は、51%43位と低迷していました。09年1月以降、接種率の上昇は見られましたが、95%の目標には程遠く、流行を十分に防げるような段階にはなっていません。

そこで今年は、接種機会を少しでも増やそうということで、県医師会の主催で日曜日の午前中(6月28日、7月5日)にも予防接種が行われるようになりました。平日や土曜日に予防接種を受けることが難しい方はこの機会もご利用ください。接種医療機関については、最寄りの市町村にお尋ねください。なお、ワクチンの準備の都合もありますので、予約した方が良いでしょう。