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成長障害の受診時期(2009年6月9日掲載)

高良 吉広・安謝小児クリニック

気づいたら迷わず相談

子育て中の親にとって子供の成長は楽しみであり喜びでもあり、丈夫に大きく成長することを願うのは当然のことでしょう。それだけに周りの子供に比べて成長が気になることもありますが、成長障害(低身長)に関する相談は子供の成長期間中にかぎられ、ヒゲが生え、声変わりしてからでは間に合いません。

子供の成長は大きく三つの時期に分けられます。まず乳幼児期に急速に成長し、身長49センチ、体重3キロで生まれ、4歳には100・4センチ、15・6キロにも成長します。この時期の成長力の素は栄養と成長ホルモンとによると考えられます。

その次の学童期ですが成長のスピードが緩やかに落ちて、4歳の年間成長率6・9センチ/年が10歳には5・0センチ/年に落ちます。この間の成長力の素は成長ホルモンによるといわれています。

次の第二次成長期(思春期)に成長ホルモンに性ホルモンの成長促進作用が加わり、年間成長率が上昇して急速に成長します。平均的には12歳から14歳ごろが成長のピークにあたりますが個人差があります。

成長障害(低身長)は身長、体重などの月齢ごとの平均値と比較して、標準偏差の2倍以上低ければ低身長で、また年間成長率が2年続けて低下していれば成長障害(低身長)が疑われます。母子手帳の成長曲線グラフを利用すると便利ですが、およその目安としては同じ年齢の子に比べて頭一つ分低ければ低身長の可能性があり、受診して相談するのがよいでしょう。

成長障害(低身長)の子供を病院に受診させる年齢について迷っている親が多いですが成長障害(低身長)に気づいたときすぐに受診することが大事です。成長障害(低身長)の原因として急いで治療しなければならない重大な病気がないか確認する必要があるからです。甲状腺機能低下症による成長の著しい鈍化は早期診断治療の効果が期待される成長障害のひとつです。適切な時期を逃さないよう、「そのうち大きくなるだろう」と受診を先延ばししないで定期的に医者の診察を受け、検査や治療の判断を求めるべきでしょう。

これから6月は恒例の学童内科検診があり、身長測定も行われます。子供の成長をチェックするよい機会ですので、子供の成長に気になることがあったり、成長障害(低身長)にあてはまる場合は一度は受診し相談することをお勧めします。