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小児の発疹は何科(2009年6月2日掲載)

城間 昇・しろま小児科医院

発熱伴えば小児科へ

「小児の発疹は小児科?皮膚科?」よく聞かれる質問です。「発熱を伴う発疹は、小児科医に診てもらうほうが良いでしょう」と答えます。なぜなら発熱を伴う発疹は、感染による全身性疾患=たとえば麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)=の部分症状のことが多いからです。

麻疹や水痘は伝染性の感染症ですから「隔離室」が必要です。小児科には「隔離室」があって、伝染性感染症の疑いのある患児は受け付けの段階で判断され、隔離室に案内されます。隔離室には殺菌灯や手洗いなどの設備があり、院内感染を防ぐ努力がなされています。

ただ、初期の水痘や溶連菌感染に伴う発疹は発熱を伴わないことも多く、判断に迷うことがあります。ごく初期の水痘疹には水疱がなく虫刺されと間違われやすいのですが、水痘疹は着衣で隠れた場所や頭皮のあちこちにできやすく、虫刺されの皮疹は四肢などに限定されてみられます。

また、溶連菌感染に伴う発疹は微細な皮膚の紅みやブツブツで風疹の皮疹と間違いやすいのですが、前者は脇や股・四肢などに部分的にみられ、後者は顔を含めた全身にみられます。さらに、眼やのどがまっ赤であれば溶連菌感染を疑って検査をします。溶連菌感染は心臓弁膜症や腎炎の原因となることがあるので、見逃すことなく徹底して治療することが大切です。

発熱を伴わない発疹のひとつに「水イボ」があります。水痘と間違われることもありますが、水イボは皮膚の紅みを伴わない硬い感じのブツブツです。数が増え拡散傾向にあれば、皮膚科の処置をお勧めします。

これから夏に向かってますます暑くなり、「とびひ」が増えてきます。とびひは、主にあせもや虫刺されの掻き傷から侵入した細菌の感染による皮膚のただれです。抗生剤の内服と軟膏塗布が必要ですが、最近は抗生剤の効きにくいブドウ球菌によるとびひが多いので、抗生剤の選択には注意が必要です。ちなみに、当院で診たとびひの約4割が多剤耐性菌によるもので、残り6割のうちの約8割はゲンタマイシン耐性菌によるものでした。

以上のように、小児の発疹には小児科も皮膚科も深くかかわっています。ドクターショッピングに陥らないためには、日ごろから病気や治療について、ていねいに説明してくれるかかりつけ医を持つことだと思います。