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大切な予防接種(2009年5月26日掲載)

浜端 宏英・アワセ第一医院

世界で遅れた日本の現状

新型インフルエンザ発生に対して、ワクチンが期待されています。ワクチンは注射で行われることが多いため予防接種と呼ばれています。今回は予防接種のお話です。

予防接種は、痛いイメージと副反応の心配から受けなくて良いのではないかと敬遠されがちですが、予防接種による恩恵は計り知れません。それは麻疹(はしか)ゼロ運動により、沖縄県で「はしか」の流行がなくなったことで明らかです。しかし接種率が下がると再びはしか流行が起きる状況は変わっていません。対象者はきちんと予防接種を受けてください。

予防接種に関しては反対派がいて、二つに分けられるようです。一つは医学的知識を持ち、多くは副反応などの一方的な情報だけを示して反対するグループです。もちろん副反応がゼロになれば良いとの考えには賛成です。

もうひとつはとても危険なグループで、予防接種は最初から悪と決めつけ、相談料を請求したり、医学的でない治療法を押し付けたりしますので気をつけてください。反対派は自然にかかった方が良いとすることが多いのですが、病気の怖さを知らない無責任で危険な考えです。

日本の予防接種はこの20年近く足踏み状態でした。そのため世界の中でもかなり遅れた状況になっています。現在、わが国の予防接種は国が勧める定期接種と、自分で選ぶ任意接種に分けられます。定期接種はほとんど無料で、万が一の副反応にも手厚い補償となっています。表のように日本では定期接種が行われる疾患数が少なく、アメリカの半分になっています。また日本で手に入らないワクチンもあります。

本当の意味での重大な副反応はごくまれですが、接種後に他の原因が確定されない限り、副反応と判定されるようです。副反応に関しては世界的規模で情報が集められており、ワクチンは世界で最も多く使用され、チェックされている薬と言えます。

また任意接種に対しても、助成金を出して積極的に子どもたちを守る自治体も増えてきました。

接種後15?30分は観察時間です。10代の女子に多いのですが、予防接種に限らず注射後に倒れてしまう子がいます。またまれな急性の副反応を見るための時間でもあり、この時間にわが子の健康と予防接種について考えていただきたいと思います。さまざまな予防接種を理解できるようにと、私たち小児科医の仲間が「ワクチンで防げる病気(VPD)を知って、子どもたちを守ろう」会を作りました。VPDで検索し、ぜひホームページをご覧ください。