沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2009年掲載分 > 金属アレルギー

金属アレルギー(2009年5月19日掲載)

青木 武雄・県立八重山病院

汗でかぶれ・湿疹も疑い

金属アレルギーは大きく分けて2種類あります。まず一つ目は、金属に直接触れてかゆくなる場合です。ピアスやベルトのバックル、ジーパンのボタンなどにかぶれるのがそうです。ニッケルという金属にかぶれる事が多いです。銀色のメッキに含まれているので、銀色の金属で銀100%でないものには、ニッケルが含まれていると考えてください。

クロム、コバルトといった金属もかぶれやすいのですが、日常生活で触ることはあまりないです。ただ陶芸をされる方は釉薬に含まれているので、お茶碗を焼いた後に、手がかゆくなる方は、金属アレルギーを疑ってみてください。また粘土や砂、土、セメントにはいろんな金属が含まれているので、これらを触った後に、手がかゆくなる方も金属アレルギーを疑ってみる必要があります。小さなお子さんで、金属アレルギーの診断が付いた方は、粘土や砂で遊んだ後は、必ず手を洗うようにしましょう。

二つ目は、食事に含まれるわずかな量の金属に反応して、体がかゆくなる場合です。人間が生きていくためには、微量の金属が必要です。例えば鉄分が不足すると、貧血になりますし、亜鉛が不足すると、食べ物の味が分からなくなります。

このように金属はわれわれの体を維持するのに必要なのですが、このわずかな金属がかゆみの原因となることがあります。口から入った食事に含まれる金属は、汗の中に出ていきます。

金属アレルギーがあると、自分の汗にかぶれてかゆくなってしまうのです。汗の溜まりやすい首筋、膝の裏などに慢性的な湿疹を繰り返す患者さんは、金属アレルギーを疑ってみます。

また汗を出す汗管に沿って湿疹が現れることもあります。手足の指先や、手のひら、足の裏に見られる汗疱疹という湿疹がそうです。小さな水ぶくれができることもありますし、カサカサになってひび割れする事もあります。これは金属アレルギーによって、手足の汗管に小さな湿疹ができてしまうからです。

金属アレルギーの検査はパッチテストです。小さな円形の絆創膏に金属の試薬を付けて、腕の内側に貼り、どの金属にかぶれているかを調べる簡単な検査です。ただし、夏場は汗でうまくパッチテストができない事が多いので、当院では12月から3月まで行っています。

金属アレルギーが心配な方は、お近くの皮膚科の先生に相談してみてはいかがでしょうか。