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足の「けいれん」(2009年5月12日掲載)

浦崎 貴志・浦崎整形外科クリニック

準備運動と水分補給を

当院には腰痛や膝痛で通院しておられる方が多いですが、時々「朝起きるとき手足を伸ばしたら両足がつった」というお話を聞きます。これはふくらはぎの痙攣―クンダガヤーが起こったと考えられます。痙攣とは自分の意志とは関係なく筋肉が激しく収縮する発作のことですが、その原因は脳から筋肉までさまざまで、小児では熱性痙攣など、成人ではてんかん・脳血管障害・脳腫瘍など病院で血液検査、コンピューター断層撮影(CT)検査や治療を受けなければいけないものがあります。ほかに糖尿病、血液・消化器・呼吸器・神経の病気などがありますが、今回は足の筋肉の痙攣(クンダガヤー)についてお話しします。

クンダガヤー(こむら返り)は、(1)下痢による脱水(2)低カリウム血症、低カルシウム血症などの電解質異常(3)うっ血性心不全(4)肝機能障害(5)アルコール依存症(6)ビタミンB1欠乏状態(胃の手術後)(7)下肢静脈瘤―などの場合に生じます。また、バレーボール、マラソン、自転車、テニスなどのスポーツ中や手足を伸ばした時に起きる事があります。これは筋肉の疲労や体内の水分不足、体の冷えによる血管の収縮が原因であると考えられています。

予防として、運動をする際には準備運動を欠かさないこと、スポーツドリンクなどを飲んで水分や電解質を補給すること、筋肉を冷やさないように、また過度に使用しないようにします。高齢者の場合は、散歩の後やゲートボールの試合後などに生じる場合が多いようです。就寝前にマッサージやストレッチをするのもよいでしょう。また、発汗に対する水分と電解質の補給、バランスの良い食生活、体調に気をつけ過労や睡眠不足にならないようにすることが大切です。朝起きるときに手足を伸ばす場合は、かかとを突き出すようにしてつま先を反らすようにします。

食品としてはカルシウムを含む小魚類や、マグネシウムの多く含まれている海藻類、玄米を食べるようにすることがすすめられます。ファストフードに偏るとビタミンB1不足になりやすいので、卵や豚肉など、ビタミンB1を多く含む食品を食べることもすすめられます。

それでもクンダガヤーが起きてしまったときは、片方の手で痛いところをやさしくさすり、もう片方の手で、足のつま先をゆっくり顔の方へそらすようにして、ふくらはぎの筋肉をよく伸ばすとおさまります。