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アレルギー性結膜炎(2009年5月5日掲載)

石川 真・牧港眼科

掃除や換気で予防を

アレルギー性結膜炎とは、花粉や住まいのほこり(ハウスダスト)が原因になって起こる目のアレルギーのことをいいます。

アレルギーの原因物質をアレルゲンといいますが、本土では、春先のスギ花粉が有名ですが、沖縄県では家の中のほこり、ダニ、ペットの毛などのハウスダストや砂ぼこりの方が主だと思われます。また、北風が強いため、赤土の砂ぼこりや中国大陸からの黄砂によるアレルギーも多い印象があります。

特に問題となるヒョウヒダニは、温度が25度、湿度が70?80%の環境が最も繁殖しやすいといわれています。最近の住まいは気密性の高いアルミサッシ窓が多く、冷暖房設備が整っていますので、ダニにとっては好都合で、特にじゅうたんは絶好のすみかになります。まさに人間自らハウスダストをつくりだしているともいえます。

症状は目のかゆみ、異物感、充血、眼脂、腫れなどです。抗アレルギー点眼薬が主で、ヒスタミン拮抗点眼薬とメディエーター遊離抑制点眼薬があります。即効性のあるヒスタミン拮抗薬はかゆみが強いときに処方します。メディエーター遊離抑制薬は効果がでるまで2週間ほどかかるため、花粉症の症状がでる前から予防的に使うことがあります。また、重症の場合はステロイド点眼薬が処方されます。抗アレルギー点眼薬は比較的副作用の少ない薬ですが、ステロイド点眼薬は眼圧上昇などの副作用もありますので、注意が必要です。

やはり、最も大事なのは、予防だと思われます。ダニはじゅうたんや畳のほこり1グラム中に3000匹もいるといわれています。したがって、まめに掃除をしてハウスダストを減らすことが大切です。エアコン、空気洗浄機のフィルターを水洗いすること、畳干し、換気をして室内の湿度を下げることも大事です。

寝具類はダニが発生しやすいので、天日干しをして掃除機をかけないといけません。ふとんは素材によってダニの増えやすさが異なります。高密度繊維∧羊毛∧ポリエステル∧羽毛∧綿―の順でダニが多くなります。高密度繊維とはダニが通り抜けられないほど細かく編んでいる繊維で最もおすすめです。羽毛は快適ですが意外とダニは増えやすいようです。ペットの毛やふけなどは、それだけでもアレルゲンになりやすく、またダニを増やす原因にもなります。

日本人の約30%がなんらかのアレルギー疾患にかかっているといわれています。アレルギーの体質を改善するのは困難ですので、上記の対策でアレルギーを克服する一助になれば幸いです。