精神科外来には、不眠を主訴とする患者さんが結構多いものです。
不眠症にもいろいろなタイプがあり、寝つきが悪いタイプ(入眠障害)、夜間に何回も目が覚めてしまうタイプ(中途覚醒)、朝、早くに目が覚めてしまうタイプ(早朝覚醒)、よく眠ったという感じがしないタイプ(熟眠障害)等が代表的なタイプでありますが、中にはそれらのタイプが交じったものもあります。
代表的な睡眠障害は、うつ病にみられる睡眠障害で、朝早く3?5時ごろから目が覚めてなかなか寝つかれず、それがきつくて病院を受診し、うつ病が背景にあることが判明する場合もあります。重度になると、なかなか寝つかれず、夜間何度も目が覚め、まんじりともせず、不安や焦燥感が限界に達すると衝動的に自殺に走る場合もあり、うつ病の不眠はうかつにできません。
不眠の訴えで、次によく見られるものは、統合失調症でありましょうか!
ただ、その場合は不眠のほかに幻覚・妄想を訴えることが多く、周囲の者はそれによる異常な言動で気付くことが多いようです。
現在では、それらの症状に対する精神科薬も副作用のより少ない新薬が多数開発されてきており、初期ならば少量の薬で回復することもあります。
神経症性の不眠も精神科ではよくみられますが、その場合は、眠れないことを気にし過ぎて、そのことにとらわれ過ぎて、余計緊張して神経が高ぶり寝つきが悪くなったりすることが多いようです。
神経質な方の場合は、できるだけ環境を調整するようにして安易に眠剤には頼らない方が望ましいです。
常習飲酒者の不眠(寝酒をやっている方は、次第に量が増えてきてアルコール依存症となるケースがあるので要注意)、覚醒剤や薬物(抗パーキンソン病剤など)による不眠もみられ幻覚や妄想等の精神症状が出現することもあります。その時は専門医(精神科医)に包み隠さず相談されることです。
そのほかによくみられる睡眠障害では、無呼吸症候群が有名であります。大きなイビキをかいて、一見よく眠っているように見えますが、イビキをかく時には、睡眠が浅くなっており、実質数時間しか眠っていないために、昼間はそれを補うためによく居眠りするので交通事故を起こしたりすることが多いようです。
このように、種々の睡眠障害がありますが、いずれにせよ重大な疾患の一症状であることもあり、精神科や神経内科、心療内科等の専門科で相談するのが賢明でありましょう。