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リウマチ手の外科(2009年3月3日掲載)

宮里 剛行・浦添総合病院

技術進み 予防と再建

私たちは無意識のうちに、はしを器用に使って食事をし、鉛筆で書類を書き、風呂に入り、トイレを済ませます。けがや病気で手指が障害されると日常生活がとても不自由となります。

私は整形外科のなかでも「手の外科」を専門としています。切断された指を再接着し、外傷で欠損した骨、筋腱、皮膚などを再建し、上肢の神経圧迫によるまひを回復させ、スポーツで傷ついた靭帯や骨軟骨を修復して復帰させています。関節リウマチの方には手指関節の変形の予防や破壊された関節の再建を行い、より良い生活を送っていただくよう努めています。

関節リウマチは、統計では30歳以上の方の約1%の方が罹患する、決してまれな病気ではありません。全身の結合織の病気ですが、その名の通り特に関節に炎症が起こり腫れや痛みが出てきます。中でも手指や手関節が罹患することが多く、朝方に両手のこわばりを感じます。ここ最近の医学の進歩は著しく、関節が変形する前に早期発見して早期治療すれば関節障害は最小限でとどまり、中には治癒する人もいると考えられています。しかし薬で治療しても関節炎が続く場合があり、放置すると骨軟骨が溶けて関節破壊や変形が進行し痛みが続きます。手指ではジグザグに曲がる「スワンネック変形」「ボタン穴変形」や、また指の付け根の関節で小指側に曲がって脱臼する「尺側偏位」が多く見られます。

まずは関節炎を改善させるためステロイドの関節内注射や、変形が軽ければ装具などによる矯正を試みます。どうしても改善しない場合は手術する方が変形を矯正して関節破壊の進行を遅らせ、関節機能を向上させて痛みを軽減させます。手術では変形のない関節には滑膜切除術を行い、関節炎の原因となる滑膜を切除して、緩んだ腱や靭帯のバランスを修復し、関節の機能を長く保ちます。また変形の強い関節には、関節形成術や人工関節置換術を行い、関節機能を再建します。最近は手術技術も進み、推奨度の高い手術が増えてきました。手の変形をあきらめてはいけません。私たち手の外科医は、使いやすくなった手でより楽しく生活を送れるよう、お役に立ちたいと思っています。

以上の関節リウマチの治療を詳しく知るには「患者さんのための関節リウマチ治療ガイドライン」(医歯薬出版株式会社)がお勧めです。またインターネットの検索では「リウマチ情報センター(http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/index.html)」も分かりやすいと思います。参考になさり、より良い治療を受けて、より楽しい生活を目指しましょう。