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関節リウマチ(2008年11月19日掲載)

砂川 憲政・とおのくら整形外科

生物学的製剤で炎症抑制

関節リウマチは、関節に腫れや痛みが起こり、関節の破壊や変形を伴い機能障害をきたしていく病気です。日本では六十―七十万人の関節リウマチの患者さんがいると推定され、多くは三十―五十歳代で発症し、特に女性に多く見られます。

関節は、主に「骨」「関節軟骨」「滑膜」などで構成されます。「関節軟骨」は骨と骨の間にあり、骨同士が直接ぶつからないようにクッションの役割を担い、「滑膜」は関節を包む関節包の内側にある薄い膜で、滑らかに関節を動かすための潤滑油となる関節液を分泌しています。

関節リウマチでは、滑膜に炎症が起こり、滑膜の増殖がみられ、そして増殖した滑膜が関節軟骨や骨に入り込み、関節を破壊していきます。これは増殖した滑膜から分泌される「炎症性サイトカイン」が、作用しているとされています。

関節破壊により関節軟骨がなくなると骨と骨が直接ぶつかるようになるため、関節の動きが悪くなり痛みも強くなります。

関節リウマチにおける関節破壊は、従来は発症してから長期経過で進行すると考えられていましたが、しかし実際は発症して二年以内に急速に関節破壊が進行することが分かってきました。現在では関節リウマチの治療は、発症早期から積極的に抗リウマチ薬の使用を開始することが重要と考えられています。

抗リウマチ薬は、薬物療法の中心として使われている薬で発症にかかわる免疫の働きを抑制し、関節の炎症を抑えて関節破壊の進行を防ぎます。

さらに二〇〇三年からは生物学的製剤という新しいタイプの抗リウマチ薬も使用されるようになりました。

従来の抗リウマチ薬は免疫全体の働きを抑えて関節破壊の進行を防ぎますが、生物学的製剤は、免疫にかかわる物質のなかで、関節に炎症を引き起こす「炎症性サイトカイン」の働きだけを抑えます。

生物学的製剤は「炎症性サイトカイン」へ直接作用を及ぼすため、その治療効果は非常に高く、特に早期関節リウマチの患者さんへの使用で特にその効果を発揮します。ただし生物学的製剤の使用に当たっては、感染症に対する対策や経済的問題があり担当医師と十分な検討が必要となります。

関節リウマチの治療では、症状が出現した早期の段階で治療開始できれば関節破壊を最小限に抑え機能障害の進行を防ぐことができます。

関節の腫れ、痛みの兆候を自覚したら、機能的な障害を残さないために、リウマチ専門医、またはかかりつけ医に早めに相談してください。