子宮筋腫とは子宮にできる良性の腫瘍で、成人女性の約30%が持っているといわれています。三十五歳ごろから子宮筋腫の発症が増えてきますが、最近では十―二十代で見つかることも多くなっています。
症状がない場合は治療を必要としないことがほとんどです。しかし、過多月経(月経の量が増えること)や圧迫症状、不妊などの症状がある場合には治療が必要となることがあります。
不妊の原因はさまざまなので、子宮筋腫があるからといってそれが原因とは限りません。子宮筋腫を持ったまま妊娠する人もたくさんいます。ただ、子宮筋腫を持っている方の不妊率は25―30%といわれ、子宮筋腫がない人と比べるとかなり高くなっています。そのため他にはっきりした原因がなく、子宮筋腫を持っている方は子宮筋腫核出術を行った方が妊娠しやすくなる場合があります。
子宮筋腫の治療法は薬物療法と手術療法がありますが、薬物療法は一般的に痛みや貧血などの症状を改善するためのもので、子宮筋腫そのものを治す薬は現在のところありません。そのため子宮筋腫の治療は手術療法が中心となります。
子宮を残す希望のない方は子宮全摘術を行うことで完全に治癒することができます。しかし、これから妊娠を希望する方や、子宮を残す希望のある方は再発するリスクもありますが、子宮筋腫核出術をすることになります。
以前は子宮筋腫核出術というと開腹手術がほとんどでしたが、最近は腹腔鏡下手術も行われるようになりました。腹腔鏡下手術とはおなかに五―一〇ミリの小さな穴を三―四カ所開けて、カメラで見ながら手術を行うものです。
腹腔鏡下手術のメリットとして(1)傷が小さい(2)術後の痛みが少ない(3)入院期間や社会復帰までの期間が短い(4)術後の癒着(おなかの中のひきつれ)が少ないなどがあります。せっかく子宮筋腫核出術をしても術後の癒着のために妊娠しにくくなってしまうことがあり、それを考えると癒着が少ない腹腔鏡下手術は不妊の方により適している治療法といえます。
しかし、どんな方でも腹腔鏡下手術が可能なわけではありません。子宮筋腫が大きい場合(一〇センチ以上)やたくさんある場合、また子宮筋腫ができている場所によっては腹腔鏡では難しく、開腹術やその他の治療を選択した方がよい場合もあります。
どのような治療を選択するにせよ、子宮筋腫の治療はあなたのライフスタイルに合わせて「いつ」「どんな」治療をするかが最も重要だと考えられます。