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わきがの最新治療(2008年9月10日掲載)

新垣 実・新垣形成外科

注射や手術 方法多様

沖縄の人は、温暖な気候により汗腺が発達しています。従って汗の量が多く、さらに肉や油を多く取る食生活から汗のにおいがきつい腋臭症(わきが)の方が多く見受けられます。

汗腺には、体全体に分布するエクリン腺と主に脇や乳腺などの毛穴に付随するアポクリン腺の二種類があります。エクリン腺は主に塩分を含んだ汗を分泌します。緊張した時などに多量の発汗をする多汗症(わき汗)はエクリン腺の作用で、ほとんど汗ににおいはありません。

一方アポクリン腺はタンパクや脂質アンモニアを含んだ汗を分泌し、わきがの原因になります。従って、アポクリン腺の多い人はわきがになりやすいといえます。

最近テレビなどで紹介され話題になっているのが、ボツリヌストキシン(BOTOX)注射です。発汗を促す神経末端をまひさせて汗をかかなくする方法ですが、一回の注射で約半年の制汗効果が得られます。脇汗だけが多くてそんなににおいは気にならない人には有効な手段です(自費診療)。

わきが手術には、メスと手術用はさみを使用して行う皮弁剪除法(保険診療)と超音波メスや電動シェーバーシステムなどの最新機器を駆使した最新治療(自費治療)があります。

従来の皮弁剪除法の場合、皮膚を裏返してアポクリン腺を切除します。そのため大きく皮膚を切開する必要があり、範囲が広い場合には周辺部でのアポクリン腺の取り残しを生じやすく、若干においが残る場合があります。逆に十分な効果を得るために二カ所に切開をしなければならない場合もあります。

最新の機械は刃の部分が細い管状になっているのが特徴で、アポクリン腺を皮膚の裏から切除します。切除可能範囲も広いので、取り残しがなく安定した効果が得られます。また、傷口が小さく傷の治りも早いので通院での治療が可能です。傷跡が目立たない利点もあります。

超音波メスは衝撃破でアポクリン腺を砕いて吸引する方式で毛根が残るので脇の毛を残したい男性に適した治療です。

一方電動シェーバーシステムは、アポクリン腺と同時に毛根も刈り取る方式で、永久脱毛を希望する女性に適した治療です。