みなさん、病理という言葉をご存じでしょうか。顕微鏡を通して病気を観察することをいい、具体的には検査や手術などで取ってきた病気の部分を細胞一個一個までよく見て診断を下したり、病気の原因を探ったりすることをいいます。
医療現場において病理はとても重要な診断部門の一つであり、欧米では病理学のドクターといえば外科医も頭が上がらないという存在です。今回はその病理から見たがん、特に乳がんに関する話をします。
乳がんの多くは母乳の通り道である乳管から発生します。その発生したがんが徐々に広がっていく過程は大きく二つ、浸潤がんと非浸潤がんに分けることができます。浸潤と書いて「しんじゅん」と読みます。浸潤と、浸潤ではないものということになります。
乳がんの多くは母乳の通り道である乳管から発生します。その発生したがんが徐々に広がっていく過程は大きく二つ、浸潤がんと非浸潤がんに分けることができます。浸潤と書いて「しんじゅん」と読みます。浸潤と、浸潤ではないものということになります。
一方、水道管の中にとどまっていたサビがあるとき水道管自体に深く侵入し水漏れをおこして水道管の外や周囲に広がってしまうような場合がありますが、それが浸潤がんになります。乳がんは非浸潤がんから浸潤がんへと進んでいく、ということになります。
浸潤かどうかの違いは画像検査では判断できません。顕微鏡学的、つまり病理の判断が必要です。この違いはさらには治療内容の違いにもつながります。浸潤がんでは手術などで病変を切除したあと、多くの場合なんらかのお薬の治療が必要です。
一方非浸潤がんでは手術できちんと取り切れれば治療はそこで終了です。さらに非浸潤がんではがんは乳管のなかにとどまっているため転移することもありません。非浸潤がんとはまさに早期のがん、治るがんなのです。非浸潤がんで発見し治療することがみなさんに受けていただく乳がん検診の最大の目標、つまり早期発見早期治療になるのです。乳がん検診に関する啓発活動として今年の十月には県内初のピンクリボン運動が開催予定です。どうぞ皆さん、今年こそ検診を受けてみませんか。