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ウオーキングのすすめ(2008年8月6日掲載)

外間力人・豊見城中央病院

中高年の体力維持に有効

最近、運動を楽しむ中高年が増えてきました。メタボリック症候群という言葉が広く認識され、スポーツの重要性が見直されたことも一因だと思われます。しかし一方で、何から始めたら良いか分からない、今更始めてもと二の足を踏んでいる方もいらっしゃいます。今回はそのような皆さまへ応援の意味を込めて、中高年の体と運動について述べたいと思います。

誰でも年を重ねると体力の衰えを感じるものですが、どの程度低下していくのか、持久力の指標になる最大酸素摂取量と筋力の指標になる膝伸展筋力という二つの数値で紹介しましょう。

持久力は二十歳代をピークに、男性で年0・7%、女性で年1・1%減少し、その結果七十歳の男性で二十歳代の65%、女性でほぼ半分になります。また筋力は二十歳代前半を基準にしますと、男性で年1・0%、女性で年0・9%減少し、六十歳代前半の男性で二十歳代前半の52%、女性で57%、八十歳代では男女とも半分以下になると報告されています。

しかし、運動をしている方は加齢による衰えが緩やかになると分かっています。体力の低下を最小限にするためにも、運動は持久力や筋力を鍛える大切な手段になります。

そこでスポーツ初心者の中高年の運動として、安全で手軽にできるのがウオーキングです。まず運動前には全身のストレッチを、(1)呼吸を止めず(2)反動をつけず(3)過度に伸ばさず(4)十秒以上伸ばし続ける―に注意して行ってください。筋肉が伸ばされることで靭帯や腱が柔らかくなり、神経系が活性化され、体も脳も運動準備が整います。

初心者は最初平地で十分間程度を一日に三回、一週間に三―四回を目安に行ってください。普段より歩幅を広げ、少し早めに歩くことを心掛け、ひじはやや曲げて、歩く早さに合わせ肩から腕を前後に振ると良いでしょう。

適正な運動量になるよう、なるべく心拍数を計って確かめてください。目標心拍数は二二〇―(自分の年齢)fa48(0・6〜0・75)です。歩行能力の向上を自覚できたら、四週間をすぎたころから徐々に距離を伸ばしてください。楽しく続けることが効果を得られる秘訣かもしれません。

ハーバード大学の追跡調査によると、健康で長生きした人の多くは、若いころの運動量とあまり関係なく、中高年に運動を継続した人だという報告があります。運動を始めるには遅いのではないかと思っている方には朗報ではないでしょうか。安全に運動を行うためにも、中高年では定期的に内科的な体調管理も行いながらスポーツを楽しんでいただきたいと思います。