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眼瞼下垂(2008年6月18日掲載)

新城憲・形成外科KC

頭痛や肩凝りの原因に

頑固な頭痛・肩凝りに悩まされている方で、精密検査を受けても「異常なし」と言われる方も多いのではないでしょうか。そのような頭痛・肩凝りの原因が、実は「まぶた」にある場合があります。今回は、最近話題のまぶたの垂れ下がり、「腱膜性眼瞼下垂」についてお話します。

眼をしっかり開けるためには、眼瞼挙筋とミュラー筋と呼ばれる筋肉が連動する必要があります。眼瞼挙筋は、眼の奥から起こって眼の上を走り、途中から腱膜という薄い組織になり、まぶたの縁の瞼板に付いています。腱膜と瞼板の結合は緩いため、まぶたをこする癖のある人(アトピー、逆さまつげなど)、コンタクトレンズをしている人などは、腱膜が瞼板からはがれてきます。すると、眼瞼挙筋の力がまぶたに伝わらない状態になり、やがて眼が開きにくくなってきます。これを「腱膜性眼瞼下垂」と言います。また、まぶたの構造上、年齢とともに腱膜性眼瞼下垂になりやすい方もいます。

ミュラー筋は自律神経のひとつである交感神経の刺激で収縮します。腱膜性眼瞼下垂の人は、眼を開けるために、いつもミュラー筋を刺激して、絶えず交感神経が緊張しています。心臓をドキドキさせる交感神経がずっと緊張し、リラックスできないとしたら…。身体に多くの異変が起こることは容易に予想できます。交感神経の過緊張が引き起こす症状に、頭痛、腰痛、めまい、ドライアイ、うつ、不安、便秘、肩凝り、冷え症、不眠、慢性疲労など、全身の数多くの症状が挙げられます。もちろん、これらは、眼瞼下垂のみが原因になるとは限りませんが、次に挙げる症状があれば、まぶたに起因する可能性があります。いつも眠そうな顔だと言われる・目を開けると額にしわがよる・まぶたが重く感じ、たるんでいる・ふたえの幅が以前より広がってきた。または、ふたえの線がいくつもある・眼が落ちくぼんできた・まゆ毛とまつげの間が離れている、または離れてきた。以前の写真に比べて眼が小さくなった・目の大きさに左右差がある。運転中に信号を見上げるのがつらい・写真撮影で「あごを引いて」と言われる。

ひょっとしたら、自分も眼瞼下垂では、と思われた方は、形成外科または眼科の受診をおすすめします。

なお、腱膜性眼瞼下垂の治療は、健康保険が適用され、局所麻酔で行う一ー二時間の手術です。