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生活習慣とメタボ(2008年6月4日掲載)

湧上民雄・メディカルプラザ大道中央

体重5%減で十分効果

沖縄県の長寿に陰りがみられ、その理由として県民の肥満と、それに伴うメタボリックシンドロームの増加が指摘されています。県や市町村、さらに医師会でも肥満の解消のために、いろいろな事業を行っていますが県民の生活習慣を改善するのは難しく、沖縄県の「肥満天国」はなかなか解消されないのが現状です。

メタボリックシンドロームについてはすでに皆さんご存じとは思いますが、内臓肥満があり血圧、血糖が高めで、脂質の異常などの生活習慣病になるリスクが重なった状態を言います。メタボリックシンドロームになった方は動脈硬化が進行し、脳卒中や心臓病になりやすいことが分かっています。

沖縄が長寿県の地位を取り戻すためには、メタボリックシンドロームをいかに減らしていくかというのが緊急の課題です。

那覇市からの委託事業で生活習慣病になりそうなリスクの高い方々に対して、食事や運動を中心とした生活習慣の改善を指導してきました。週一回食事、運動の指導を行い三カ月間続けたところ、体重が平均で二・六キロ減少し、血圧も下がりました。血液検査では空腹時血糖、インスリン値、中性脂肪を低下させることができ、その結果としてメタボリックシンドロームの割合を38%から7%に減らすことができました。

肥満の程度を示す指標としてBMIというものがあります。体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った数字です。理想は二二で二五以上は肥満と考えられます。例えば身長一五〇センチの人の理想体重はほぼ五〇キロとなります。もし一五〇センチで体重が七〇キロもあれば理想体重にするために二〇キロ減量しなければならず、かなり難しいことです。

しかし実際には私たちの結果のように、体重がせいぜい5%程度低下させることができれば十分な効果があり、メタボリックシンドロームから脱出できる方が多くいるのです。

また、皮下脂肪はなかなか減らないのですが、健康に害をなす内臓脂肪は食事療法や運動療法により速やかに燃焼させることができます。食事療法、運動療法の重要性は最近科学的にも証明されつつあります。

体重を5%減少させればあなたもメタボリックシンドロームを返上することができます。健康的な生活習慣を継続し長寿県沖縄を取り戻しましょう。