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いびきと睡眠時無呼吸症候群(2008年5月21日掲載)

大城元・沖縄第一病院

周りの指摘が命を守る

日本人のいびきの割合は、男性の21%、女性の6%に及び、そのうち日中、だるい、眠いなどの症状をともなう睡眠時無呼吸症候群は成人の5%といわれ、二百万人と推計されています。ずいぶんありふれた病気といえますが、診断されずに見過ごされている方がとても多いのが実態です。

睡眠時無呼吸症候群は夜間の睡眠不足のため、昼間に異常な眠気をもよおし、いろいろな合併症を引き起こす病気です。交通事故をはじめ重大な産業事故の原因ともなっており、放置すると心血管障害、脳卒中、夜間突然死を引き起こす確率が高くなるといわれています。

いびきは、睡眠中に上気道が狭くなり、空気が通るときのどが振動して音が鳴るもので、肥満、あごが小さい、へんとう腺が大きい、鼻づまりがある場合にかきやすくなります。

のどがさらに狭くなると、息を吸うときに気道の壁が吸い寄せられて閉じてしまい、息が吸えない状態になることがあります。これが無呼吸です。それが頻繁に起こり、さまざまな症状が引き起こされるのが睡眠時無呼吸症候群です。

いびきのことは本人には分からないので、周囲の人が指摘してあげることが大切です。無呼吸(十秒以上の呼吸の停止)が頻繁に(一時間に五回以上)起こり、昼間の眠気などさまざまな症状が引き起こされるのが睡眠時無呼吸症候群です。

無呼吸や低呼吸があるかどうか、睡眠時無呼吸症候群であるとすればどの程度であるかを調べるために睡眠ポリグラフという検査を行います。自宅で可能な簡易検査と、一泊入院して行う精密検査があります。

治療は肥満の方は体重を減らせば良くなりますが、重症の方は早急に治療を開始しないと突然死する場合があります。最も確実で効果の高い方法は鼻マスク式持続陽圧呼吸法です。これは就寝時に鼻マスクを装着します。鼻マスクは器械につながれており、これから空気が送りこまれ、のどを内側から膨らませてつぶれないようにしています。

軽症の方は歯科装具が有効な場合があります。歯科装具はボクシングで使うマウスピースのようなもので、これにより咽頭部が広がり、息の通りがよくなりいびきも軽くなります。

そのほかに手術、横向きでの就寝、アルコール睡眠薬の禁止、鼻閉の治療などがあります。