皆さんの中には、四月から新たな生活を始めた方も多数おられるでしょう。実は禁煙に関してもこの四月、大きな変化がありました。
まず社会的な面としては沖縄県ハイヤー・タクシー協会加盟百五十一社、四千百八十三台のすべてのタクシーが全面禁煙を実施しました。これは全国で十八番目の全面禁煙化宣言です。利用者、乗務員の健康への配慮が目的ですので、観光立県をめざす県民として恥ずかしくない対応をしていきたいものです。
すでに沖縄県庁は全面禁煙、県立学校は敷地内禁煙、また国際通りの路上禁煙条例が実施されています。これからもますます無煙社会を目指した法的整備がなされるでしょう。
国際的にも日本は「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約(たばこ規制枠組み条約)」(FCTC)を二〇〇四年六月に批准、翌年二月に発効していますから当然の流れなのです。
いうまでもなく喫煙は喫煙者本人のみならず、周囲の人も喉頭がんや肺がんを含めた呼吸器疾患、循環器疾患、妊婦においては早産・流産・死産や異常児出産を引き起こす危険性を高くもっています。頭では悪いとわかっていてもやめられないたばこというのは麻薬や覚せい剤と同じ薬物依存なのです。
この依存症には心理的依存と身体的依存がありますが、身体的依存からの離脱を助ける手段としてはこれまで禁煙パッチが保険診療で認められている唯一の手段でした。
四月から新たに経口禁煙補助薬のバレニクリン酒石酸塩が保険で使えるようになりました。脳内のニコチン受容体は、ニコチンが結合するとドーパミンを放出し、強い快感や報酬感をもたらすのでこれがニコチン依存の原因とされています。バレニクリンは、ニコチンに代わってニコチン受容体に結合することで、禁煙に伴う離脱症状やたばこに対する切望感を軽減し、同時にニコチンに先んじてニコチン受容体を占有するので再喫煙した場合にも満足感が得られにくくなり、禁煙しやすくなるとされています。消化器症状や、リアルな夢、性格変化などの副作用もいわれていますが、禁煙治療に期待できる薬剤の登場と考えられます。
県内でも禁煙外来をしている各医療機関で処方可能となるはずですので、興味のある方は早速禁煙、卒煙を開始しましょう。
真の大人というのは依存症から自らを解放し自分自身を律することのできる人のことで、決して成人識別カード「taspo(タスポ)」を持っている人ではありません。