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関節リウマチ治療(2008年4月23日掲載)

豊原一作・国立病院機構 沖縄病院

早期診断が導く病状緩和

関節リウマチの治療は、実績のあるこれまでの治療薬と新しい治療薬の位置付けがなされ、転換期を迎えたと言えます。これからの治療目標は、“痛みや腫れなどの関節炎症状がみられない緩解の状態”と考えられるようになりました。

よく言われてきたことですが、病気の治療とは、自身の自然治癒能力を手助けすることです。関節リウマチの治療も例外ではなく、薬物により完全に治すことは難しいと言えます。

しかし、最近では早い時期に適切な治療を行うことにより、将来の病状を緩解に導く可能性が高くなると考えられています。また、生活の質を高めるという視点から、問題点を拾い上げ、解決する仕組みが必要です。

関節リウマチの治療で、重要な次の三項目に焦点を絞り考えてみました。

初めに、早期診断には病状とこれまでの経過に加えて、採血とエックス線検査が必須です。最近では、採血による抗CCP抗体検査やMRI検査が早期診断に有用であることが分かってきました。気になる症状のある方は、近くの医療機関にご相談されてみてはいかがでしょうか。

二番目に、関節リウマチは人によって病状が異なり、薬の効果にも差があります。個々の患者さんにあった薬の選択とその効果判定が重要です。痛い関節、腫れている関節の無い緩解の状態が治療目標となります。症状の軽快が得られない場合は、薬の変更が必要となります。

どのような薬にも副作用はありますが、関節リウマチの治療薬には重篤な副作用を有する薬が少なくありません。近年、目覚ましい治療効果が喧伝されている生物学的製剤は、感染症誘発のリスクを有しています。対策として、既往歴、合併症の有無などの確認が必要です。また、ご自身とご家族の病状および治療についての理解、複数の診療科の連携などが副作用発現の際の対策として重要となります。

三番目に、生活の質を高めるには、一人一人の生活に視点を置くことが大切です。移動動作、食事動作などの日常生活動作に障害を来す事項の確認などです。問題点を明らかにし、これに対して手術治療、リハビリ、介護などのケアを含めた総合的な対応が必要になります。

以上、関節リウマチの治療について、おおまかに述べさせていただきました。

最後に、これからの問題点として、薬物の副作用対策、治療費の高額化、診療施設アクセスの問題などがあげられ、今後の解決が望まれます。