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慢性腎臓病(2008年4月2日掲載)

宮里昌・みやざと内科クリニック

尿タンパクに注意必要

突然ですが、一つ問題を出します。

あなたの「尿タンパク」に対する認識は次のうちどれでしょう?

答えは(4)番なのですが、いかがだったでしょうか?

日本腎臓病学会の調査では、一般の人で(3)番を選んだ人が53%(4)番が18・1%だったそうです。半分以上の人が(3)番を選んでいるのですが、それも仕方のないことだと思います。なぜなら私たち医師も、最近までそう思っていたのですから。

表題の「慢性腎臓病」は、二〇〇二年に米国で提唱された新しい概念で、具体的には▽尿タンパクが陽性である(腎臓に形態的変化がある場合も)▽腎機能の低下を示す糸球体ろ過値(検診などでも行われる血清クレアチニンから、年齢・性別によって計算されます)が一分当たり六〇ミリリットル以下である―のいずれかの状態が三カ月以上持続する人と定義されています。

「わざわざ新しい病気をつくるなんて」と思う人もいるかもしれませんが、そうしてまで対策に乗り出したのは、慢性腎臓病を放置すると人工透析が必要になる恐れが高くなるだけでなく、心筋梗塞など心血管系の病気で亡くなるリスクも高くなることが分かってきたからなのです。

しかも、日本腎臓病学会の試算では、早期の場合も含めると国民の五人に一人が慢性腎臓病に当たるとしており、それが「新たな国民病」ともいわれるゆえんです。

気になる方は、検診を受けるか、お近くの医療機関でお調べください。簡単な尿検査と血液検査で診断できます。

治療に関しては、ごく簡単に説明しますが、まず生活習慣の是正(禁煙・減塩・肥満の是正)、厳格な血圧コントロール(一三〇/八〇mmHg未満)、血糖値やコレステロールの是正がその中心となってきます。