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肺がん(2008年1月30日掲載)

我喜屋亮・豊見城中央病院

喫煙、受動喫煙でリスク

肺がんは増加の一途をたどり、日本人男性におけるがん死亡率の第一位であることを皆さんは、ご存じですか。進行がんで発見されることが多く、肺がん全体での五年生存率は10―20%程度です。

肺がんで亡くならないためには、たばこを吸わないこと、早期発見、早期治療が大切です。

肺がんの最大の危険因子は喫煙であり、わが国における喫煙者の肺がんリスクは、非喫煙者に比べ、男性で四―五倍、女性で二―三倍です。喫煙開始年齢が若いほど、喫煙量が多いほど、肺がんのリスクは高くなります。

肺がんにならないためにできることは、たばこを吸わないこと、またたばこの煙も吸わないことです。たばこの煙の中にも有害物質が多数含まれています。自分の意思とは関係なくたばこの煙を吸わされる受動喫煙も問題視されてきており、非喫煙者でも受動喫煙により肺がん発がんのリスクが21―26%増大することが知られています。肺がんになる原因はたばこだけではありませんが、禁煙により肺がんになる可能性を少なくすることはできます。

たばこが止められないことは本人の意思が弱いからではなくニコチン依存症になっている可能性があります。条件が満たされれば保険で治療を受けることができるので禁煙外来受診をお勧めします。

健康のため食事療法、運動療法などいろいろ気を使っている人の中にたばこを吸われている方がいますが、健康のためにまず始めなければならないことは禁煙です。

次に早期発見についてお話します。肺がんは症状が出にくく、せき、血痰、胸痛等の症状が出たときにはすでに進行がんであることがあります。

早期発見のためには検診や人間ドックなどを積極的に受けることが大切です。肺がんに関して検診では主に喀痰細胞診検査、胸部エックス線検査を行います。

しかし、がんが小さい場合や心臓、肋骨など他の臓器に隠れて胸部エックス線検査では発見困難な場合があります。そのような肺がんを見つけるには胸部CT検査、PET―CT検査が有用です。近年、胸部CTの普及や高分解能CTの登場により胸部エックス線検査では見落とされてしまうような小さな肺がんが見つかるようになりました。

たばこを吸われる方、肺に病気がないか心配な方は胸部CT検査またはPET―CT検査をお勧めします。

最後に、沖縄県は肺がん死亡率の最も高い県(全国第一位)であり今後も増え続けて行くと予想されます。禁煙、肺がん検診を積極的に受けるよう心がけましょう。