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不妊予防キャンペーン(2007年11月7日掲載)

上村哲・上村病院リプロヘルスセンター

喫煙など4項目で対策PR

現在不妊症カップルは十組に一組といわれています。また治療の進歩により体外受精などの高度生殖医療での出生児は約一万人を超え、全出生数の約1%を占めています。先日、ある国内学会で「不妊予防キャンペーン」と銘打ったそのポスターを目にしました。

主に四項目で構成された内容をお知らせすることで将来一部の方でも不妊が防げるかもしれません。その四項目とは、「年齢」「性病」「喫煙」「体重」。

まず一番の年齢ですが、ポスターの内容を読んでみると「子どもは最後でいいのですか?」と書いてあります。現代の価値観の多様性からすると多少非難を受けるかもしれませんが、不妊症や産科の観点からすると、やはり年齢は若いにこしたことはない。三十五、六歳から妊娠しにくくなり、四十歳でさらに難しくなります。たしかに四十代でお子さんに恵まれる方もいらっしゃいますが少数派です。

次いで性病ですが、昔に比べ性に関してオープンな風潮が社会にまん延しています。比較的簡単に性交渉に及び、あっという間に性病が広がっていきます。特にクラミジアや淋菌という細菌は子宮、卵管に非常に悪い影響を残し、後々妊娠しにくい状態にしてしまいます。性病の予防が必要です。

三番目に喫煙ですが、妊娠、出産、育児に関して、たばこの良い影響は一つもありません。もちろん健康にもですが、本人はもちろん、夫や他の家族の同居者の喫煙でも妊娠しにくくなることが分かっています。ご夫婦そろって禁煙しましょう。

最後に体重ですが、標準体重を明らかに超えると排卵がうまくいかなくなることがよくあります。極端な体重増加は糖尿病にもつながり妊娠が成立してからもいろいろなトラブルをおこします。適度な運動と体重のコントロールが必要です。やせ過ぎもいけません。以上の四項目を皆さんご存じでしたか?

不妊症専門外来では、やはり外来ではじめに見るのは、患者さんの年齢です。一般治療から人工授精、体外受精といった高度生殖医療まで一生懸命治療を行っていますが、なかなか四十代の方の妊娠成立は難しいものがあります。

価値観が多様化した現代、さまざまな意見があると思います。われわれ医師としては、正確な情報を皆さんに提供して患者さん一人一人が自分で判断、決断していける環境をつくっていくべきだと考えています。

最後に「不妊予防キャンペーン」の発信元であるアメリカ不妊学会のホームページを載せておきます。http://www.protectyourfertility.org/