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胆石症(2007年9月12日掲載)

平良一雄・与那原中央病院

暴飲暴食避けた生活を

最近よく耳にするメタボリック症候群。やはり増えている胆石症。日本では現在、成人の5―10%の人が胆石を持っていると推測されています。同時にこれに伴ういろいろな合併症も増えています。

さて胆石とは胆のうの中にできる石ですが、胆のうとは胆管という肝臓から十二指腸へつながる総胆管の途中につながる小さな袋のことです。肝臓でつくられた胆汁という消化液が一時的に蓄えられ、食後排せつされます。

胆のうは胆汁の水分を吸収してしまうので、胆汁の成分が変化すると、コレステロールやビリルビン、カルシウムなどが溶け切れずに結晶となって析出してきます。これが胆石の基になるわけですが、食生活を含むメタボリック症候群と呼ばれる状態が胆石をつくりやすい胆汁にしてしまうわけです。

報告によりますが、この胆石症の患者のうち約30―60%の方々が何らかの症状を発症し、中には胆のう炎や総胆管結石症、膵炎、肝炎などを生じ、抗生剤治療に始まり、結局手術治療を余儀なくされる方もいます。

では住民検診や人間ドックなどで「胆石があります」と言われた場合どうしたらよいのか。

(1)どんな石なのか説明してもらい、小さい石や数が多いものなど注意すべき石か知っておくこと(2)症状のない胆石でも、年一回の定期的な検査で、石の状態の変化と総胆管結石や胆のうがんの有無の確認を行っておくこと(3)脂肪の摂取を減らすことや暴飲暴食を避けるなど食生活に注意すること(4)右上腹部痛、心窩部(みぞおち)から背部にかけての痛み、嘔気、嘔吐、発熱、黄疸(皮膚や眼球が黄色くなること)などの症状が出たら早めに受診すること―が挙げられます。治療は無症状の方については胆石溶解剤内服もありますが、治療が長期間に及ぶこと、溶ける石の種類が限られていること、溶けても再発することがあるなど注意が必要です。

一方、有症状の場合、最も優先すべき治療法は腹腔鏡下胆のう摘出術で、発熱のない胆石発作や発症間もない胆のう炎に有効で、大きな開腹をせずに胆のう摘出が可能です。時間のたった胆のう炎については緊急開腹術を選択せざるを得ません。また総胆管結石を合併しているものについては、内視鏡などによる胆管結石摘出術も併せて行うこともあります。実際の治療は個々の病態に応じて選択されますが、早めの治療が有効ですので、普段からご自身の健康状態にご留意していただくことことが大切です。