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禁煙のススメ(2007年8月29日掲載)

照屋勉・てるや整形外科

「分煙」から「無煙」へ

ご周知の通り、「健康おきなわ2010」のキーワードは、(1)栄養対策(食育)(2)運動対策(貯筋)(3)たばこ対策(禁煙)(4)アルコール対策(節酒)(5)ストレスマネジメント(笑い)(6)歯科保健対策(歯磨き)の六点である。特に、たばこに関しては、全世界的に、やめることができる環境がなんとか整ってきた今日このごろである。

まず、「たばこ病」で年間約一兆二千億円(国民医療費の約5%)、社会全体として少なくとも四兆円以上の損失になるらしい。年間のたばこ税額は約二兆三千億円…。愛煙家の言い訳の一つに「ちゃんと税金は払っておりますよ!」というのがあるが、なんとも分が悪そうである。

たばこの値段に関しても、一箱三百円の商品の約63%が税金ということではあるが、外国と比較すると、イギリス―七百五十円、アメリカ―四百五十円、カナダ―四百十円、フランス―三百八十円…。三百円を安いとするか、高いとするか。

「建物内分煙」から「建物内禁煙」、さらに「敷地内禁煙」へ。「嫌煙権」の生みの親で、「たばこ問題情報センター」代表・『禁煙ジャーナル』編集長の渡辺文学氏によると、「分煙」という言葉はすでに死語になったとのこと。現在では、「無煙」が常識となっているらしい。「禁煙タクシー」「禁煙すし屋」「受動喫煙防止条約」「禁煙は愛!」、最近では「禁煙学(日本禁煙学会編)」なる分厚い本まで発行されているのである。

先日、「敷地内禁煙」を宣言した某病院の裏路地の道向こうのベンチで、病院のスタッフと入院患者さんが仲良く一服しながら談笑していた。まだまだ、「無煙」とは「無縁」のようである。

以前、たばこは嗜好品で、ニコチン・タールなど数種類の有害物質による悪影響より、精神安定剤的な効果が優先されていたように思われる。しかし、科学も進歩し、二百種以上の発がん性物質が検出されるようになった現代では、限りなく覚せい剤と同等に扱われても仕方ないことなのかもしれない。

「たばこをやめるのは簡単ですよ! たばこをくわえても火つけなければいいさ〜!」と、ある先輩に話したら、たばこはやめられても酒がやめられない小生は、「酒やめるのも簡単さ〜! コップに注いでも飲まなければいいさ〜!」と、言われてしまった。まったくその通り。反省、反省…。やはり、「一無し(禁煙)・二少し(節酒・節食)・三多し(多動・多眠・多接)」の実践しかないようである。