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がん(2007年6月13日掲載)

国吉孝夫・嶺井第一病院

発症抑える前向きな心

一九八一年以来、日本人の死因トップに君臨するがん。毎年約三十万人、国民の三人に一人ががんで亡くなります。

がんセンターを中心とした研究と海外の疫学調査から生活習慣とがんの関連が、がんと精神との関連が見えてきました。科学的根拠に基づくがん予防法で、がんセンターの「がんを防ぐための十二カ条」や世界保健機関(WHO)の「がん予防食事指針」があります。

結論は、がんの原因の一位はたばこと食事。ともに30%ずつを占めます。運動不足や遺伝、ウイルスなどは5%、アルコールは3%、環境汚染、紫外線などは2%しか寄与しません。喫煙せず、食事に気を配れば、がんは六割予防できるのです。

ただし、「コレでがんを予防できる」という食品は見つかっていません。もろもろの野菜には、おそらく食道、大腸がんの予防効果がある。口腔、咽頭、喉頭、胃、肺、腎臓、膀胱がんについては予防の可能性がある。果物にはこれまたおそらく食道、胃、肺がんの予防効果がある。口腔、咽頭、喉頭、大腸、腎臓、膀胱がんについて可能性がある。しかし、毎日摂れば、特定の成分を過剰に摂取することになり逆効果になる場合もあります。

がんは気からについて。ドイツの調査です。性格はABCの三つに分けています。

A型性格‥激情的、直情的な人

B型性格‥人生、性格を肯定し、平穏無事な生活を送る人

C型性格‥温和、従順、協調的で感情を抑えて「いい人」と言われる人

その結果、C型の人たちが一番がんにかかりやすく、B型の人が一番かかりにくいことが分かったそうです。つまり、感情を抑えて常にストレスがある人の免疫力は落ちていることになります。

オランダでの調査では、同じ重症度のがん患者でも、悪化する人は(1)医学の治療にたいした希望ももたず、しかも自己流の治療もしていない(2)食生活に対する反省もなく、がんになった後も、同じ食生活を続けている。

一方、がんが「治った」人たちは(1)食生活とがんの関係を認め、食生活を根本的に変えた(2)現代医療も代替医療も試みた(3)敬けんな宗教心を持つようになり、人生観も変わった(4)がんになった後、絶望と苦しみの中から希望を見出した―という共通点がありました。

希望、人生の肯定、やる気、物事の良い面を見る、宗教心を持つなど、ポジティブな気持ちは、がん細胞をやっつけるNK細胞(白血球のリンパ球の一種)の働きを高めて、がんを抑えてくれることが科学的にも証明されています。