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診療ガイドライン(2007年5月9日掲載)

岸本信三・県立南部医療センター・こども医療センター

標準の治療法を薦める

新聞や雑誌テレビなどのメディアでは、毎日のように「ガイドライン」という言葉を見掛けますが、「診療ガイドライン」については、ご存じでしょうか。

これは、病気の進み具合などに応じて標準的な治療法を示した指針であり、医師や患者さんが適切な判断や治療法を選択するようにしたものです。

また、治療法だけでなく、予防や診断、リハビリテーションなどについても作成されており、患者さんが分かりやすいように作られた「一般向け診療ガイドライン」もできています。

例えば、胃潰瘍では、ピロリ菌(胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主な原因)が陽性の場合、除菌治療が勧められます。具体的には、潰瘍の薬に二種類の抗生物質を加え、一週間服用してもらいます。また、早期胃がんでは大きさが二a以内で潰瘍ができていない場合、内視鏡治療が勧められ、それ以上大きい場合、開腹手術などが推奨されています。このように、標準ではこのような治療法を薦めるということです。

一方、国立がんセンターのような専門施設では、多数の症例のデータや経験から、二a以以上の早期胃がんでも内視鏡治療しており、施設や時には医師によって治療法が異なる場合もあり、その理解も必要です。さらに新しい薬が発明されると、これまでの薬より有効で副作用が少ないなどの証拠(エビデンスと呼んでいます)があれば、新しいガイドラインに変更となるでしょう。

ガイドラインは、ある治療法を行うように強く勧める(グレードA)から、行うように勧める(グレードB)、行ってもいいが十分な科学的根拠がない(グレードC)、行わないように勧められる(グレードD)など段階的に評価しています。

皆さんも、インターネットを利用して「診療ガイドライン」について調べてみませんか?

日本医療機能評価機構が、二〇〇四年五月から通称Minds(Medical Information Network Distribution Serviceの略)として、診療ガイドラインを公開しています。ご覧になってください。

アドレスはhttp://minds.jcqhc.or.jp/index.aspx