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不整脈と根治療法(2007年5月2日掲載)

大城力・翔南病院 不整脈・循環器センター

高周波治療「効果に期待」

心臓は全身に血液を送るポンプで一分間に六十―百回、規則正しい拍動を繰り返しています。この心臓のリズムは、心臓のてっぺんにある司令塔(洞結節)から心臓に「収縮せよ」という命令(電気信号)によって調節されています。

司令塔以外から電気信号が出ることもあり、心臓のリズムが狂って脈が速くなったり、遅くなったりということが起こります。これが不整脈で、強い自覚症状から不安感・恐怖感といった心理面、さらには生命に対する脅威があります。自覚症状としては、動悸、息切れ、脈がとぶ、胸部苦悶感やめまい・失神などを訴えます。実際には治療の必要のないものから、症状が無くても心不全や脳梗塞を発症したり、突然死を招く恐ろしい不整脈まであります。

不整脈には脈が遅くなる徐脈性不整脈と脈が速くなる頻脈性不整脈があります。徐脈性不整脈の治療はペースメーカーが主体となります。

頻脈性不整脈には発作性頻拍症と心房細動があります。心房細動は心臓のリズムが不規則で脈がバラバラとなり、かなり強い症状を自覚する人もいれば、全く無自覚の人までさまざまですが、症状の強さに関係なく心不全や、脳梗塞を引き起こす危険性があります。

発作性頻拍症とは「ドキドキ」と突然脈が速くなり胸の強い拍動感を自覚します。心臓が勝手に暴走した状態で、持続時間が長い場合は心不全の原因となります。めまいや失神、強い胸部症状を伴う場合やWPWという先天異常に伴う場合は命にかかわることがあります。しかし、いくら症状が強くても病院を受診した時にはすでに発作が停止していることが多く、心電図などの検査で異常は見られず、「精神的なもの」「神経質」と診断される場合もあります。専門病院では、症状から不整脈を疑った場合、電気生理検査を行い不整脈を誘発してその機序と発生源を調べ、不整脈の確定診断を行います。

頻脈性不整脈の治療法には薬物療法と非薬物療法があります。非薬物療法としては高周波カテーテルアブレーションがあり、不整脈の発生源を高周波にて根治する治療法です。発作性頻拍症(上室性頻拍、WPW症候群、特発性心室頻拍、心房粗動など)の約95%以上で根治が期待でき、術後服薬が不要となる患者さんも数多くいらっしゃいます。手技時間は二時間ほどで、術後一―二日で退院可能です。安易な抗不整脈薬の投与はかえって重篤な副作用を起こすこともあり、アブレーションが可能かどうか担当医とご相談することをお勧めします。