沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2007年掲載分 > 肩のスポーツ障害

肩のスポーツ障害(2007年3月14日掲載)

浦崎貴志・浦崎整形外科クリニック

痛みや違和感、早めに受診

肩にはいろいろな痛みや違和感がありますが、まず肩のつくりをお話しします。

肩(肩関節)は大きな上腕骨頭(二の腕の骨の頭)を肩甲骨の小さな肩甲関節窩(受け皿)で受け、鎖骨という細い骨でクレーンのようにつり下げ、腕を支えるようなつくりになっています。この関節を周りの関節包(関節の袋)、靱帯、筋肉が協調して支えており、協調が崩れるといろいろな痛みや違和感が生じてきます。

肩のスポーツ障害でよくみられるものに投球障害があります。投球とは言いますが必ずしも野球だけではなく、物を投げる動作・肩を大きく回す動作のスポーツ(野球・水泳・テニス・バドミントン・バレーボールなど)にみられます。

それぞれのスポーツで障害部位は違いますが、野球を例に挙げますと、特にピッチャーの投球障害が多くみられます。小学生のころから野球を始め、中学・高校・大学・職域と長年続けられた方の、投球する肩の後ろに投球動作の始め・加速期・投球後に痛みが生じ、時に投球後の腕のしびれを感じる場合があります。後ろの関節包が硬くなり、スムーズな投球動作ができなくなることで肩の軟骨や靱帯を傷めてしまうことが原因と考えられています。症状が重くなると投球時だけではなく、着替えや運転など日常生活でも困るようになります。

予防としては肩の後ろを中心とした日ごろのストレッチ運動が大切です。日常生活でも痛みが出るようになった場合、治療としてまず三―六カ月のストレッチを中心としたリハビリテーションを行います。必要に応じて肩のエックス線撮影やMRI検査を行い障害部位を確認します。また、内服薬、注射薬で痛みを和らげリハビリテーションを行いやすくします。

リハビリテーションや薬でも痛みが治まらず、スポーツや日常生活の支障が続く場合は手術による治療を行う場合があります。手術の内容は肩の障害部位によって違いますが、硬くなった関節包を緩めるのと同時に、傷んだ軟骨や靱帯を修復するという目的で行われます。

最近は県内で肩関節鏡手術(細いカメラを使用しながら、細い機器で行う手術)を習熟した整形外科専門医が手術を行い、入院期間も短期間になっています。

スポーツを長年続けていて、肩の痛みや違和感を覚えている方は、整形外科専門医の診察を受けることをおすすめします。早い段階で痛みの原因が分かれば、リハビリテーションや薬で改善し、さらにスポーツを続けられる可能性があります。