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打撲?ねんざ?実は骨折(2007年2月21日掲載)

砂川秀之・南部徳洲会病院 整形外科

持続する痛みは要注意

手や足をぶつけたりした後、数日〜数週間してから来院される患者さんが時々います。打撲や軽いねんざ程度でしたらほとんど問題ありませんが、中には骨折していることがあります。

骨折の治療も他の病気などと同様に早期診断、早期治療が大事です。治療の原則は、転位(ずれ)を戻してしっかり固定することです。けがをして数週間もたつと、ずれたままくっつきかけたりして、治療が困難になります。

また、関節部の骨折は特に注意が必要です。見た目に変形が少ない場合があるからです。関節の骨折は、ずれをしっかり戻す必要があります。足テビチの軟骨を見たことがあると思いますが、非常につるつるしています。関節はそのつるつるした軟骨が、なめらかに動くことによってうまく機能するのです。関節面がずれたままくっつくと、ごりごりして動きが悪くなったり強い痛みが残ったり、また将来的に外傷性関節症(軟骨がすり減り変形した関節)になったりする可能性があります。そうなると機能障害は一生持続したり、徐々に悪くなったりする可能性もあるのです。

初診時に撮影したレントゲンではっきりしなくて、後で見つかる場合もあります。ですから、症状が続く場合は、数日〜一週間後に再度撮影します。

また通常のレントゲン撮影で発見が困難な骨折もあります。代表的なのが、手首の親指側にある舟状骨という小さな骨です。手のひらを強くぶつけたりして起きます。この骨折のやっかいなところは、見つけにくく、くっつきにくいことです。初めに診断がつかず偽関節(骨がくっつかないこと)の状態で見つかったりすることもあります。そうなると治療が大がかりになったりします(骨盤から骨を採って移植したり…)。

そのほか、手のひらの小指よりのところに有鉤骨というのがあり、その名のとおり手のひら側に向かって骨の一部がにょきっと鉤状に出っ張っています。手を強くついたり バットやゴルフクラブ、テニスラケットのグリップの際に強い衝撃が加わったりした後、痛みが続くときはこの部分の骨折の可能性があります。レントゲンでは見つけにくいためCT検査が必要です。この骨折は放置すると指を曲げる腱が切れることがあるので要注意です。

このように、遅れれば遅れるほど治療が困難になったり、また特殊なけがもあったりするので、小さいけがだからたいしたことないさーとは考えずに、早めの整形外科受診をお勧めします。