沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2007年掲載分 > 胎児心エコー

胎児心エコー (2007年2月14日掲載)

男澤拡・浦添総合病院 小児科

18週で胎児の心臓を診る

赤ちゃんは受精後四十週間(十カ月)をお母さんのおなかの中で過ごしますが、その間に心臓も形成され、発育します。先天性の心臓病には胎児の時に診断することができる病気もかなりあります。中にはお母さんの子宮の中で過ごす間に形が変化してくる心臓病もあります。

○胎児心エコーって何?

「胎児心エコー」は、超音波を用いて子宮内の赤ちゃんの心臓の状態を詳しく観察する検査法です。この検査により、おなかの中の赤ちゃんの心臓の病気を早期に診断し、必要があればお母さんのおなかにいる間から治療方針をたてて、生まれてすぐに治療できるように準備することができます。また、生まれる前にご両親と生まれてからの治療方針について相談することができるようになります。

○胎児心エコーはいつからできるの?

お母さんのおなかからは妊娠十四週くらいからできますが、妊娠十八週前後でかなり正確な胎児の心臓の診断が可能となります。

○胎児心エコーで何が分かるの?

心臓の形態の異常(先天性心奇形)、赤ちゃんの脈の異常(不整脈)が分かります。

○心臓病の出生前診断の利益

心臓病の中には生まれる前に診断がついていれば、良いことがしてあげられるものもあります。たとえばチアノーゼがあるからといって酸素投与をするとかえって状態が悪くなる心臓病もありますが、生まれる前に診断がついていればそんなことを避けて、安定した状態を保つことができます。またおなかの中の赤ちゃんの脈が速い病気(頻脈)では、重症化すると赤ちゃんの体がむくんだり(胎児水腫)、おなかの水(腹水)が増えてしまうので、赤ちゃんの脈の異常が正確に診断できれば、その種類にしたがって、お母さんに薬を飲んでもらうことにより胎盤を通して赤ちゃんの不整脈の治療をすることができます。

○胎児心エコーを受ける自由、受けない権利

生まれる前の赤ちゃんの病気のことですから「そんなことは知りたくない」とか「自分は反対だ」という考えの方がいらして普通です。そのような方は、医師から胎児心エコーを受けてくださいと言われてもはっきりと「私は受けたくありません」とおっしゃってください。

もし胎児心エコーで異常が見つかった場合、ご両親だけで悩むことなく、おなかの中の赤ちゃんに一番いいことをしてあげられるように、いっしょに考えていきましょう。