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保健所業務(2007年2月7日掲載)

宮里達也・中央保健所

ノロウイルス対応に奔走

私たち保健所の業務は、大別すると保健情報収集業務、相談業務、危機管理業務の三つです。皆さんが日ごろ目にする保健統計の多くは保健所経由で集められたものですし、難病、母子、精神、結核などの相談やエイズ相談はとても大切な業務です。中でも、昨年のエイズ相談で六人の陽性が出たことなど、とても大切なことなのに皆さま方になかなか伝わっていないのではと思われ、日々苦慮しております。

今回は、保健所の多様な業務の中から、特に危機管理業務について紹介します。

危機管理業務における最近の私たちの最大関心事は、鳥インフルエンザに対する備えです。京都の事例など、いろいろな情報を集め活動マニュアルを作り、職員間で勉強をしています。特に、韓国などの近隣諸国での発生情報があったときはかなり緊張しています。

そんな中で先日、東南アジアからの帰国者で、現地で生煮えの血の付いたアヒルを食べたという人が体調不良を訴えているという情報が入り、鳥インフルエンザの検査が必要であるということでした。万一に備え、夜中まで待機しておりましたが、幸いにも普通のインフルエンザと判明し一同ほっとしました。

昨年末は、ノロウイルスの集団発生が問題となりニュースで連日取り上げられましたので、管内の関係者の間でも不安が広がりました。そこで食品衛生協会と共同でノロウイルス対策の講習会を行いました。ノロウイルスの流行時期と修学旅行シーズンが重なるため、この問題の解決は難しく将来にわたって沖縄観光の課題となりそうです。

年末年始には多くの方々が休暇を取って、のんびりと正月を祝っておられたと思いますが、保健所はそうはいきません。各職員は、緊急連絡態勢の分担を割り当てられ、オンコールで待機しなければなりません。

今回もお年寄りを預かる施設でノロウイルスの発生があり、感染症の担当が指導に当たりました。また、ある居酒屋で出された生レバーが原因でカンピロバクターによる食中毒が発生し、連日担当職員はその対策を行いました。さらに、精神疾患の患者さんが不穏状態となり、警察などの関係者と一緒に入院治療を受けてもらうための活動事案が二例も起こり、しかもその中の一例が離島での事案であったため、通常以上に困難な業務でした。

日ごろ、何事もなかったかのような顔をして活動している保健所職員ですが、仕事ぶりの一端を紹介することで業務に対する皆さんのご理解をいただければ幸いです。