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臓器提供意思表示カード(2006年10月18日掲載)

和氣 亨・県立南部医療センター・こども医療センター

情報集めて よく考えて

写真の臓器提供意思表示カードは、病院や郵便局、銀行、コンビニなどに置かれており、一九九七年十月の臓器移植法施行以降、県内で百万枚が配布されていますので、一度はご覧になったことがあると思います。特に二〇〇四年発行の沖縄オリジナルデザインのカードは観光の方にも好評で、発行した七万枚はすでになく今年増刷を予定しています。

以前はドナーカードと呼ばれたこともあり、臓器提供する人だけが持てばよいと考えられがちですが、このカードは「私は臓器提供をしません」という意思表示もできるようになっており、死後に臓器提供をするか、しないかを表明するものなので「意思表示カード」と改められました。いわば死後の自分の体(臓器)についての遺言書ですから、持っていても自分のためにはなりませんが、移植でしか助からない命や、人工透析や目が見えないため苦労している見知らぬ誰かを、自分の死後に助けることができるカードというわけです。

沖縄県調査によると県民の4・3%(全国平均は9%)はこのカードを持ち、イエスかノーかの明確な意思表示をしています。同調査でカードを持たない理由は、臓器提供って怖そう、自分が死ぬなんて考えられない、誰かがやればいいんじゃないの、よくわからないから持たない、などでした。

自分のこととはいえ、死んだ後のことを健康な今のうちに決めておくことや、よくわからない臓器提供をイエスかノーか判断することはできませんし、臓器移植や提供はそう身近な話題でもありません。まずは移植についてよく知ること、死をどうとらえるか、死んだ後の自分の体をどうするのがいいのか、情報を集めて各人がよく考えることが必要になります。

十月は臓器移植普及推進月間です。県臓器移植推進協議会では毎年、臓器移植を理解してもらうための公開シンポジウムを行ってきました。今年は十月二十九日 (日)午後二時から、会場をこれまでの北谷町から浦添市の国立劇場おきなわに移し「あなたが贈る想いが笑顔にかわるとき」と題して開催します。

生と死と老いを見つめる会のラサール神父(小禄教会)に宗教の立場から命についてのご講演をいただき、県内の腎臓移植者や角膜移植者の体験談や臓器移植を待つ人の声を通じて、臓器提供を考えてみようというシンポジウムです(参加無料)。ぜひご参加ください。

そしてよく考え、意思表示カードにあなたの意思がイエスかノーかを記入してください。