沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2006年掲載分 > ダイエット

ダイエット(2006年10月04日掲載)

倉橋豊・くらはし整形外科クリニック

医師に相談楽しくやろう

肥満の方は、生活習慣病といわれる高血圧、糖尿病、高脂血症にかかりやすく、死亡原因の三大疾患であるがん、心疾患、脳血管疾患の発症率が非肥満の方と比べ、二から五倍以上高いといわれています。

沖縄県の肥満者の割合は、二〇〇〇年から五年連続男女ともに全国第一位です。特に、六十五歳以下に肥満者が多く、〇五年の六十五歳未満の死亡割合を見ると、県男性は、全国第一位、女性は第五位と、比較的若い人が死亡する割合が高い県となっており、将来に暗い影を落としています。

最近、マウスの脳内に腹時計が発見されたり、人間に肥満を引き起こす遺伝子が発見されていますが、「遺伝三割、環境七割」といわれるように、一般に、肥満は食事などの「摂取カロリー」が体の維持や運動で使われる「消費カロリー」を上回ることによって発生します。現在、世界人口約六十五億人のうち、約八億人が飢餓で苦しみ、毎日約二万人以上の人々が餓死しているといわれます。この現実を直視すると、現在の沖縄が肥満という危機に直面していることは複雑な感情をもたらします。

「ダイエットの歴史」(海野弘著)によると、ダイエットという言葉が食事制限や減量の意味として使われたり、肥満が悪い意味の言葉として使われるようになったのは、わずか百年前ころからということです。百年前までは、世界ではそれほど肥満で悩んだり、苦しむ人は少なかったということです。肥満は、豊かさや人間の欲求が生んだ、ぜいたくな新しい病気なのかもしれません。

肥満度を表すBMIが二五を超える肥満とされます。BMI=体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)で算出します。でも、毎日計算するのは面倒ですね。そこでBMIなどが数秒で計れる「体組成計」を手に入れられることをお勧めします。肥満度が、二五を大きく超える方は、その肥満に目を背けず、向き合ってゆきましょう。

ダイエットの成功率は5から30%と報告されています。多くは、短期間に結果を得ようとするあまり、急激な食事制限や運動があだになるようです。医師、トレーナー、栄養士、保健所などで相談されてから、六カ月単位で結果を見るぐらい緩やかに始めましょう。まだ、歴史の浅い「肥満」に、絶対という治療法はありません。個人の特性に合わせた方法で、肩ひじを張らず、家族や仲間と緩やかに楽しんでダイエットを始めてゆきたいものです。