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心肺蘇生法(2006年9月6日掲載)

久場良也・ハートライフ病院

「救命の連鎖」の一員に

青い空、青い海、ギラギラと照りつける太陽、夕暮れになると海風に誘われ、ビールがおいしい沖縄の夏。でも夏は楽しいことばかりではありません。海の事故や熱中症、心筋梗塞や脳梗塞など急病の季節でもあります。

救急医療の現場ではしばしば次のような言葉を耳にすることがあります。「ただ寝ているだけだと思っていたのに」、血圧の薬を自己中断し、脳内出血を来した患者の妻。「最近太ってきて、階段がきつそうだなと思っていたけど、まさか」、胸痛を訴えて来院した患者の家族。私たちは一人では生きていけません。家族の愛や地域の和のなかで生きているのではないでしょうか。それこそがユイマールとは思いませんか。

救急医療現場での悲しい事態を避けるためには日ごろからの予防と急変時の対応が重要です。もしもの場合の対応について家族や地域の中でもっと話し合うべきではないでしょうか。

さて皆さんは心肺蘇生法を「難しい」「もう年だから」「体力がないから」「ミスするのが怖いので」などと考えて、講習を敬遠してはいませんか?

でも新しいことを学ぶのは年齢を問わず楽しいものですよ!

今年の春、小学校の卒業記念に心肺蘇生法を勉強しようと、六年生の児童と父兄の約七十人が自主的に講習会を企画しました。この時の参加者は十二歳から六十歳代までと幅広い年齢層で、児童よりも父兄の方がとっても熱心でした。講習は次のような内容でした。「あなたは公園を歩いている時に倒れている人を発見しました。その人は呼んでも返事がありません。あなたはどうしますか? 賢明なあなたは周りの人を呼んでこう話すでしょう。『この人は倒れて意識がありません。すぐに救急車を呼んで、AED(自動除細動器)を持ってきて下さい』。そして呼吸がないことを確認した後、周りの人と一緒に心肺蘇生法(心臓マッサージと人工呼吸)を始めます。AEDが到着し、あなたはAEDの声に従って除細動のスイッチを押します。その直後彼はうめき声をあげ、徐々に呼吸も回復してきました。ほどなくして救急車が到着、無事病院に搬送されました」。

来る九月十八日に第二回県民救急・災害フォーラムが沖縄コンベンションセンターで開催されます。昨年は六百人が講演、心肺蘇生法の講習等に参加しました。今年は二千人以上の方が参加していただけるようにスタッフ一同準備を進めています。今日からあなたも救命の連鎖の一員です。そして私たちの地域を救命の連鎖で結びましょう!