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夏の皮膚疾患とケア(2006年8月30日掲載)

野中薫雄・am皮膚科クリニック

身近な水遊びで汗知らず

夏は「とびひ」「あせも」の季節です。子どもさんが外で遊んで、虫に刺されたり、あるいは汗をかいてかゆくなってガリガリかいたりするととびひになります。

とびひは皮膚の表面についている細菌が皮膚の中にすり込まれて感染を起こすとできてくるのです。ほとんどのとびひはガリガリかいてできる湿疹と一緒になって、単に化膿止めをつけてもなかなか治らないということが起こってきます。かゆみ止めは、一般には副腎皮質ホルモン含有軟こうですから、かえって感染が強くなって悪くなってくるということがしばしば起こることになります。ですからいったんとびひが出来てしまうと薬をつけてもなかなか治らない、また治ってもすぐまたぶり返してしまうという悪循環に入ってしまいます。

湿疹でも虫さされでも汗をかくとかゆみが出てきます。あせもができてもかゆくなってきます。従って、夏は子どもさんが汗をかかずに遊ぶ方法を工夫をする必要があります。汗をかかずに遊ばせる方法があるでしょうか? それがあるのです。それは水遊びです。水遊びをしている時、子どもさんは汗をかいていません。それは皮膚の温度が水によって下がるので汗が出なくなります。また、できているあせももかゆみがなくなり、汗も洗い流されますのでかゆみが治まります。

さらに水で皮膚表面に付着している細菌類が洗い流されます。皮膚をかいてもとびひになる可能性が低くなるというわけです。皮膚表面の細菌類は分裂して増えてきますが、一度減らしても数時間で元に戻ってしまうと言われています。ですから一日に一回の水遊びでは足りないわけで、できたら午前、午後一回ずつさせた方が良いでしょう。

水遊びの場所も特別な場所に出掛けるのではなく、家庭の中でお母さんが目を離さないようにできる場所が良いと思います。ベランダに小さなビニールのプールを置いて水遊びをさせながら、お母さんが仕事ができるような方法を日常生活の中で作り上げていくことが大切でしょう。

このように夏のあせも、とびひ、湿疹をできないようにすることが、できた皮膚病を治すことに加えて皮膚のスキンケアとして必要になります。水遊びのあとは水が蒸発するときに皮膚の中の水分まで蒸発させていきますので保湿剤を使用することが必要です。

これからもまだまだ暑い日が続きます。汗をかいてかゆみが増してアトピー性皮膚炎なども悪くなってくるでしょう。ぜひ日常生活の中に積極的に水遊びを取り入れてみて下さい。