沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2006年掲載分 > 子どもと犬咬傷

子どもと犬咬傷(2006年5月10掲載)

県立中部病院・小濱守安

子供だけで犬と遊ばせない

子どもは動物が大好きです。特に犬はとても身近な存在で、家族の一員として屋内で飼うことも増えてきました。公園で子どもが犬と遊んでいる光景も見掛けます。

でも決して犬と子どもだけにしてはいけません。子どもは犬が好きでも、犬も子どもを好きとは限りません。飼い主には従順ですが、子どもにも従順とは限りません。咬むことは犬の本能であり、動物咬傷の約80%が犬によるものです。一度咬まれると、咬まれた傷は治っても、犬に対する恐怖はなかなか消えません。

県立中部病院で八年間に犬に咬まれて救急室を受診した患者は五百六人、うち十五歳未満の子どもが百六十六人で平均七・三歳でした。男の子が約三分の二を占めており、小学生以上では手足を咬まれた者が多いのですが、四歳以下の幼児では約40%が頭や顔を咬まれています。犬に押し倒され、咬まれたことが推察され、首を咬まれた重症事故も発生しています。事故の場所も室内や庭などが半数を占め、65%は飼い犬によるものでした。

子どもには、犬は咬むことがあることを教え、子どもだけで犬と遊ばせないことが事故の予防につながります。米国では犬咬傷の予防のために、次の十項目を助言しています。

もし犬に咬まれた場合、犬の口中には細菌が多く感染を起こしやすいので、速やかに医師の診療を受けてください。外見上、傷は浅く見えても深部まで達していることがあります。表面だけでなく傷の中まで丹念に洗浄する必要があり、破傷風対策も必要です。

飼い主は、犬が咬むことは自然な行動であり、他人を傷つけることがあることを心にとどめなければなりません。飼い犬が起こした事故に関しては全責任があります。またいったん飼う事をきめたら、家族の一員として最後まで世話をする責任があります。簡単に家族を捨てないでください。