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鼻水・鼻づまり(2006年5月3掲載)

琉球大学医学部付属病院・鈴木幹男

症状続けば検査・治療を

鼻というと、ダンゴ鼻やワシ鼻のような顔の部分を思いがちです。もちろん外見も大切でしょうが、鼻の大事な部分は鼻穴の奥に隠れています。例えば風邪をひくと、くしゃみや鼻水が出たり鼻がつまったりしますね。これは鼻に入ってきたバイ菌を体の外へ出したり、入ってこないように体が反応するためです。それ以外にも空気を暖めたり湿り気を加えたりしてノドが乾燥しないようにする働きやにおいを感じる働き、声をつくる働きなどを持っています。

鼻水や鼻づまりはもともと体を守ろうとする働きですが、症状が続くと逆に悪い影響がでてきます。ノドが痛くなったりにおいを感じなくなるばかりでなく、食べ物の味もよく分からなくなります。ほっておくと鼻とつながっている空洞(副鼻腔)に膿がたまり黄色い鼻水がでてくる副鼻腔炎、いわゆるちくのう症になります。こうなると頭や顔が重い感じがしたり、勉強に集中できなくなったりします。最近では抗生物質の少量長期内服治療や鼻からお薬を吸入したりして治ることも多くなってきました。また副鼻腔炎以外でも沖縄県では湿気の多さや家の構造からホコリやダニに対するアレルギーをもつ人が多く、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを生じるアレルギー性鼻炎が多いようです。

治療を受けても副鼻腔炎の症状がよくならない場合は手術が必要になります。昔は歯の上の歯肉を切って膿のたまっている部分を取り除いていましたが、痛みが強いことや再発が多かったことから今では鼻の穴から細いカメラ(内視鏡)を入れて病気の部分をとる方法で手術します。この方法では格段に痛みや体への負担が少なく、左右両方手術をした場合でも一週間以内の入院ですみますので経済的です。この手術で副鼻腔炎の症状を90%以上の方で改善させることができます。

鼻水や鼻づまりを我慢できたとしても、怖いのは副鼻腔炎を長期間治療せずにほっておくと、時としてがん(上顎がん)ができることです。この場合は歯や顔の痛み、鼻水に鼻血が混じるなどの症状がでてきます。残念ながらこのような症状がでたときには既にがんが進行している場合も多く見られます。これ以外では良性のできものでも鼻水や鼻づまりが主な症状となることがあります。良性のできものの場合はがんになることも多く手術が必要ですが、大きくても顔を切らずに鼻の穴から摘出できるようになってきました。いずれにしても長期間症状が続く場合は十分な検査・治療が必要です。