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リアルタイム検査の重要性(2006年3月15日掲載)

久手堅憲史(琉生病院)

病気も火事も早期対応が鍵

病気を火事に例えてみましょう。火元の小さなマッチの火(軽い症状)の段階で見つければ、一杯のバケツの水(一回の通院と飲み薬)があれば、十分に対応できます。また、少し進んでボヤの段階(初期の病気)であっても、手元の消火器(何回かの通院や短期の入院)で対応することができます。

しかし、いったん火の勢いが進んで建物を包み込む大きな炎(重症の病気)になってしまうと、何台もの消防車(高度先進医療)を動員しても簡単には消しとめることはできません。消し止めるまでには、時間がかかり(長期入院)、お金も費やされます(多額の医療費)。また、やっと消しとめたとしても後は焼け野原(死亡や後遺症)という残念な結果になってしまいます。

病気は、かかり始め・初期の小さな異常のうちに見つけて治療を開始すれば、比較的簡単に治すことができます。

「カゼをこじらせて気管支炎になっています。もう何日か遅れたら、肺炎になって入院しなければならなくなるところでした。すぐに治療を始めましょう」「おなかの痛みの原因は胃潰瘍ですね、完全に治るまでしっかりと治療しましょう」

早期に診断をつけて、すぐに治療を開始することができれば、病気の悪化を防ぎ、早く回復することができます。

十分な検査設備を備えている病院では、受診日当日にその場で検査を行い、およそ一時間以内に検査結果を得ることができます(リアルタイム検査)。検査結果から診断をつけ、その場で治療を開始することが可能です。軽い病気であれば、通院する必要がなく、一回の受診で病名を聞いて、薬をもらって家で薬を飲んで治療を開始することで病気を治すことができます。

主なリアルタイム検査としては、肺炎などの感染症の検査(血液検査、エックス線検査、インフルエンザの検査、肺炎球菌の検査、レジオネラの検査)、胃の検査(胃カメラ、潰瘍のピロリ菌検査、胃のバリウム検査)、心臓の検査(エックス線、心電図、血液検査)、肝臓の検査(血液検査、超音波(エコー)検査、CT検査、肝炎ウイルス検査)、肺の検査(エックス線検査、CT検査、血液検査)、糖尿病の検査(血液検査、尿検査)などがあります。

病気はこじらせないで軽症のうちに対応しましょう。そのことが、ひいては現在、問題となっている三十一兆円を超える医療費の削減にもつながってくると考えられます。