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動かぬ肩 専門医の検査を(2005年7月27日掲載)

上原敏則(県立那覇病院)

五十肩?頸椎椎間板ヘルニア?

整形外科外来には肩を動かせなくなってこられる方も少なくありません。三十-四十代の比較的若い中年の女性が突然の激しい肩の痛みで腕を上げることも動かすこともできなくなった場合には石灰沈着性の腱板炎のことが多く、肩関節の外側に痛むポイントがあり、レントゲン写真で白い石灰がたまっているのがわかります。注射で劇的によくなります。

また、スポーツやけがの後に肩が上がらなくなった場合には、肉離れ、筋肉痛のことが多いのですが、そのほか腱板断裂や、靭帯、関節唇など関節の構造物の損傷などが考えられ検査を進めます。手術加療が必要となることもあります。

はっきりしたけがや運動負荷もなくただ加齢とともに痛みと肩の運動障害が出てきたのが狭い意味での五十肩です。外来では治療しながらの原因究明となります。根気強く温熱療法、マッサージ、運動療法などが必要です。ストレス、眼精疲労、心臓発作、頸部リンパ節炎などなどいろんな病態も考慮します。

さて痛くもないのにいつの間にか肩が上がらなくなってしまったと外来にこられる患者さんがいます。普段から肩こりが強かったり、指先がしびれたりすると、頸椎椎間板ヘルニアの可能性が強くなります。

お尻や太もも、ふくらはぎ、足の指先にかけて痛みやしびれがあって腰が痛む場合にはまず、腰椎椎間板ヘルニアを考えますね。腰椎椎間板ヘルニアのなかには、まれですが痛みを伴わず突然両足首や膝に力が入らなくなり、おしっこを漏らしたりしてしまうような中心性の腰椎椎間板へルニアがあります。緊急手術が必要となります。

頸椎の場合も腰と同様、骨と骨の間にある軟骨の一部ゼリー状の髄核が飛び出して悪さをするのが頸椎椎間板ヘルニアです。首を動かすと、腕や手にしびれや痛みが走り、力が入らなくなることで気づくことが多いですね。先に述べたように痛みもなく、しびれもなく、筋力低下(この場合は肩が上がらない)のみで発症する場合も少なくありません。神経の根元の方で運動神経だけがヘルニアで圧迫されておこり、とくにキ=ガン型の頸椎間板ヘルニアとよばれています。

単なる五十肩と油断している間に急速に肩の筋肉が落ちてなくなってしまいます。体を使う仕事をされている中年の男性に多いようです。歩行時のふらつきなど頸髄症に伴う自分では気づかない症状を伴うこともあります。MRI検査にて確認します。ときには手術が必要となることもあります。気軽に整形外科医にご相談ください。