沖縄県医師会 > 健康の話 > 命ぐすい・耳ぐすい > 命ぐすい・耳ぐすい2005年掲載分 > 熱中症

熱中症(2005年7月20日掲載)

花城直次(国立病院機構沖縄病院)

炎天下では水分・塩分補給を

今年も長く暑い夏がやってきました。屋外でのスポーツや仕事には暑さが厳しい季節ですが、毎年のように発生している熱中症にも気を付けなければなりません。

熱中症とは、体の中で過剰に生産された熱や外部環境から暴露された過剰な熱によって引き起こされるさまざまな体の不調であり、時には死にいたることもある病態です。

熱中症は熱けいれん、熱疲労、熱射病の三つに分類されています。体の熱を放散するために大量の汗をかくと、水分と共に塩分も失われてしまうのですが、熱けいれんでは水分のみを補給することによって、体の中の塩分が少なくなって起こります。突然、手足のけいれんやおなかの痛みが出てきます。よく、屋外で仕事をされていた方が手足がひきつって痛むとのことで医療機関を受診してきます。

熱疲労は熱けいれんより症状が重く、過度の発汗により水分、塩分とも足りなくなる状態です。幼児や高齢者など自分で水分が十分に取れないような人は、猛暑の屋内でも容易に脱水に陥るので注意が必要です。顔色が悪くなり強い頭痛や吐き気、めまいなどの症状があり、熱で拡張した下肢の血管に血液が貯留するため気を失うこともあります。

熱射病は一番症状の重い病態で、四十度以上の発熱と意識障害が見られ、発汗が止まってしまうこともあります。脳機能障害や肝腎機能障害、血液凝固障害で死に至る危険があり、集中治療を要します。炎天下での激しいスポーツやトレーニングなどは、熱けいれんを呈さずに短時間にこの状態に至る事があります。このような人の特徴としては、我慢強い、まじめであることが挙げられます。

熱中症を予防する対策としては、熱を放散しやすい服装や適度の休憩と過度の日射への暴露を避け、水分・塩分も十分に取ることです。体調が悪いと脱水になりやすく熱の放散が悪くなります。睡眠不足、二日酔い、風邪、下痢(水分の吸収が悪い)、疲労、貧血、循環器疾患のある方は熱中症になりやすいといわれています。お酒を飲んで二日酔い、睡眠不足、疲れのたまった状態で、屋外での仕事やゴルフに出かけるのは危険ですね。

スポーツをされる方は、のどの渇きは脱水のよい指標とはならないため、定時の水分補給が必要です。

不幸にも熱中症になった場合は、まず水などを体にかけ空気を送って冷却し、吐き気がなければ水分(塩分を含む)の補給をします。それでも症状が改善しないときや、意識障害があるときにはすぐに医療機関への受診が必要となります。