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第44回 全国学校保健・学校医大会
―子供は希望。未来の力―

宮里善次

常任理事 宮里 善次

去る11 月9 日(土)午前10 時より、秋田 市の秋田キャッスルホテル及び秋田県民会館に おいて「子供は希望。未来の力」をメインテー マに標記大会が開催された。

午前の部は秋田キャッスルホテルにおい て、5 分科会が開催され、各県医師会から応 募のあった演題について、発表と活発なディ スカッションが行われた。各分科会の内容は、 第1 分科会が「【からだ・こころ(1)】こころ・ 予防接種・食物アレルギー」をテーマにした 10 題、第2 分科会が「【からだ・こころ(2)】 生活習慣」をテーマとした9 題、第3 分科会 が「【からだ・こころ(3)】検診・運動器検診」 をテーマとした8 題、第4 分科会が「【耳鼻 咽喉科】」をテーマとした9 題、第5 分科会 が「【眼科】」をテーマとした11 題となっている。

午後の部は秋田キャッスルホテルで、都道府 県連絡会議、秋田県民会館で第44 回全国学校 保健・学校医大会開会式、日本医師会会長表彰式(学校医、教護教諭、学校関係栄養士)、シ ンポジウム、特別講演が行われた。

シンポジウムでは『学校における感染対策』 をテーマに、大学、行政、医師会等、それぞれ の立場から意見が述べられた。

特別講演では、秋田大学学長の吉村昇先生 より、「資源の獲得競争に負けない日本を―秋 田から資源学の発信を―」と題した講演が行われた。

挨拶

秋田県医師会 小山田雍会長

秋田県医師会は、本大会の第1 回目を担当 し、それから40 年余りを経て2 度目の開催と なる。今大会は「子供は希望。未来の力」をメ インテーマとし、シンポジウムでは「学校にお ける感染対策」を取り上げている。平成21 年 施行の学校保健対策法において安全対策を講じ ているが、最近は「いじめ」「暴力」など対人 的な安全も重要視されるとともに、情報媒体に関連した問題、アレルギーや運動器の問題、「が ん」に関する教育など、次々と新たな課題への 対応が生じている。今大会において、全国の学 校医の先生方が一堂に会し、情報交換が行われ 親睦が深められることは大変、意義深いと考え る。本大会が実り多きものとなるよう祈念する。

次で、日本医師会の横倉義武会長より、主催 者としての挨拶が述べられた。

本大会のメインテーマは「子供は希望。未来 の力」である。今、我が国が直面する様々な問 題の中で、次世代を担う子どもたちの健やかな 身体と豊かなこころを育むために、学校医がす べきことは何か、という原点に立ち、建設的な 議論を通して、地域の学校保健活動に反映して いただければ幸いである。

シンポジウム
テーマ『学校における感染対応』

座長 秋田県小児科医会会長 澤口 博
秋田県医師会常任理事 大山則昭

基調講演

「インフルエンザ対策における学校の役割」
秋田県医師会感染症等危機管理委員会アドバイザー
東北大学大学院医学系研究科
病理病態学講座微生物学分野教授 押谷 仁

我が国では、インフルエンザ流行時に、学 校閉鎖や学級閉鎖等が日常的に行われており、 学校での欠席者情報がインフルエンザの流行 のモニタリングに有用であることも広く知られている。

インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染で あり、学校は、インフルエンザの感受性の高い 子どもたちが集団として生活する場であること や、こども同士では、顔を突き合わせての濃厚 接触が大人に比べてはるかに多いことが分かっ ていることから、インフルエンザ対策やサーベ イランスを行う場として重要といえる。

また、新型インフルエンザ流行時に学校閉鎖 や学級閉鎖を行うことは、単に学校での感染を 防ぐのではなく、地域への感染拡大を防ぐという目的で行われる場合があるということにな る。今年4 月に施行された「新型インフルエン ザ対策特別措置法」の中で学校・幼稚園・保育 園等の閉鎖が規定されているのは、このような 理由によるものである。

学校での欠席者情報がインフルエンザの流行 のモニタリングに使われるのは、まず地域の中 で学校が流行の端緒となる場合が多く、学校で のサーベイランスが地域の流行の早期検知に有 用であるという理由にある。

しかし、このような対策は感染拡大のスピー ドを一定程度抑制するという効果しか期待で きず、流行を完全に阻止することは通常は不可 能である。また、感染拡大のスピードをコント ロールしたとしても、感受性者が感染しないま ま感受性者として残っていくことを意味する 為、その結果、より大きな流行を起こす可能性もある。

このような状況を踏まえ、学校でのインフ ルエンザ対策を考えるためには、その有効性、 限界、社会への影響等を総合して考える必要がある。

シンポジウム

「秋田県大館市の麻しん地域流行・新型インフルエンザを振り返って」
〜麻しん流行と新型インフルエンザにおける学校閉鎖・出席停止対応の検証〜
大館市立総合病院副診療局長
感染制御室長・検査科部長 高橋 義博

保育・幼稚園・学校または地域内において流 行拡大している感染症への対策は、その感染症 の重篤度・感染様式・VPD かどうか等により異なる。

地域対策として学校に特化した必要な対策 は、1)学級・学年・学校閉鎖のタイミング、2)授業実施の可否や代替授業の実施の検討、3)授 業の進行が不平等にならないよう、休んでいる 子に歩調を合わせる、4)入試時期に流行した場 合(追試・再試)、5)部活・サークル活動への 対応、6)保護者への対応(特に臨時休業中の対 応)、インフルエンザへの対応が、児童生徒(幼児)の間でのいじめ等につながらないような配 慮をすることである。

秋田県における事例として、2007 年12 月か ら大館市を中心とした麻しん流行(約160 名) に際し、麻しんワクチン緊急接種と全国初の取 り組みとなった学校保健法第12 条(現 学校保 健安全法第19 条)適応による麻しん未罹患で 麻しんワクチン未接種者への出席停止措置を行った。

また、大館市の2009 年11 月からの新型イ ンフルエンザ流行において、市教育委員会が作 成した「学校(園)における新型インフルエン ザ対応マニュアル」を基に積極的な閉鎖対策を 行い、校内における流行拡大を防ぐ効果が確認された。

地域感染症流行時の感染症制御については、 1)幼児から小中学生における感染症対策、 2)基本的に、VPD であれば小児での事前のワクチ ン対策、高い接種率の確保と流行時のワクチン 未接種者(感受性群)に対する緊急接種の推進、 3)流行時には、地域内の関係者(医療、行政、 学校関係、報道機関等)の迅速で密接な連携が 流行制御、C事前行動としては、感染症対策の 専門家を中心とした、地域内の感染症流行時の 行動計画の策定と日頃の各機関を交えた行動訓 練(机上、実地)、以上4 つのポイントが重要である。

「感染症情報収集システム(学校欠席者情報 収集システム)の全県運用に向けて」
秋田県立本荘高等学校養護教諭(前秋田県教育庁保健体育課指導主事)
村上 まゆみ

平成21 年度に新型インフルエンザ(A/ H1N1)が全国的に流行し、秋田県においては、 医師会や医療機関、教育委員会等がそれぞれの 立場で迅速な感染拡大防止対策を講じ、臨時休 校が感染拡大を抑えたと評価される一方で、各 市町村や学校における対応にばらつきが生じた ことや、学校医や保健所等との閉鎖基準等の共 通理解が不十分であったこと等、連携における 課題が挙げられた。

そのような中、秋田県では、平成22 年8 月 に開催された「秋田県医師会と秋田県教育庁と の懇談会」において、秋田県医師会から、関係 者がリアルタイムで感染症流行状況を把握し、 早期対策で感染拡大を防ぐことのできる「学校 欠席者情報収集システム(国立感染症研究所  大日康史主任研究官開発)」を推薦された。秋 田県教育委員会は、平成21 年度の新型インフ ルエンザ対応の反省を踏まえ、迅速かつ連携を 重視した本システムの運用について前向きに検 討を重ね、各市町村教育委員会や関係機関の理 解を得ながら、モデル地区における導入を経て 運用地域を拡大し、平成25 年4 月に全県運用 (国立・私立学校除く)に至った。

本システムの導入により、学校、学校医、教 育委員会から、事務作業の簡素化や迅速な地域 の流行状況の把握、それによる迅速な注意喚起 等の成果が挙げられた。

秋田県においては、本システムの入力内容を、 当面の間は感染症による出席停止及び臨時休業 に限定し、毎日の欠席入力を義務付けないこと や、入力担当者を養護教諭に限定しないこと等 を独自に定め、約2 年半をかけて全県運用に至っている。

今後は、新型ウイルスによる感染症の流行も 想定した危機管理の一環として、学校、学校医、 教育委員会、医師会、保健部局(保健所)がそ れぞれの立場で本システムをさらに有効活用さ れ、迅速かつ連携を強化した感染症対策がなさ れることを期待する。

「秋田県医学生麻しんワクチン高校プロジェクトの効果について」
秋田県医師会常任理事 小泉 ひろみ

国は麻しんを制圧するために、平成18 年よ りMR ワクチンの2 回接種を開始し、平成20 年〜 24 年の5 年間、中学1 年生と高校3 年生 にV期、W期として定期接種を行ったが、W期 の接種率は伸びず、麻しん感染拡大防止に必要 な95%に至るには難しかったことから、秋田 県医師会では高校生と年齢や意識の近い秋田大学医学部医学科の学生グループと一緒に、高等 学校において麻しんワクチンに関する講演を行った。

平成21 年度末に試行1 校、平成22 年度5 校、 平成23 年度7 校、平成24 年度3 校の合計延 べ16 校で講演を行い、受講生は、高校2 年生 が1011 人、高校3 年生が1,604 人であった。 講演後のアンケートでは、麻しんの恐さを知ら なかった、講演を聞けて良かった、予防接種を 行う意味を知った等、医学生自身に対する感想 もあり、概ね好評であった。

医学生が麻しんワクチンの重要性を高校で伝 えることは、高校生に麻しんという病気の重大 性やワクチンの重要性を伝えるのに有用である とともに、高校生にとって医学生を知る貴重な 機会であった。

「秋田県における中学校および高等学校の性感染症への取り組みと
 秋田県医師会の行う性教育講座への要望」
秋田赤十字病院
総合周産期母子医療センター長 平野 秀人

秋田県医師会では、中学生及び高校生を対象 に、医師(産婦人科医、小児科医、泌尿器科医) による性教育講座を行っており、学校における 性感染症教育の実情と性教育講座への要望につ いて、秋田県内の中学校123 校、高等学校62 校にアンケート調査を行った。

性感染症のカリキュラムが組まれている中学 校は94%、高校は100%となっており、ほと んどの学校で性感染症に関する授業が行われて いる。高校では1,2 年生、中学校では3 年生が 主な対象となっており、高校で取り上げている 主な性感染症は、エイズ(96%)、クラミジア 感染症(94%)、淋病(76%)、ヘルペス感染 症(63%)、梅毒(56%)、中学校ではエイズ (83%)、クラミジア感染症(83%)、梅毒(64%)、 淋病(57%)、ヘルペス感染症(54%)と、中 高ともにほぼ同じであった。

また、性感染症に対する関心は、高校生、中 学生ともに低くはないものの、中学生の場合は 個人差が大きい。中学生では意識(生命の尊重、 モラル、他人事ではない等)の重要性を指摘し た学校が22%と多く見られたが、知識が豊富に なっても、それを実践する力が未熟であれば教 育として十分ではない旨の貴重な意見があった。

性教育の中でも、特に性感染症に関する知識 や関心についえては学年差、個人差が大きい為、 講座を担当する医師側の判断ではなく、事前に 学校側と十分な打ち合わせを行い、指導要綱を 踏まえた教育を提供することが必要である。

特別講演

座長 秋田県医師会会長 小山田雍

秋田県医師会会長の小山田雍先生の座長の 下、特別講演が開催され、秋田大学学長の吉村 昇先生より概ね以下のとおり説明があった。

「資源の獲得競争に負けない日本を―秋田から資源学の発信を―」
秋田大学学長 吉村 昇

情報化社会の急速な進展とともに、あらゆる 分野においてグローバル化が顕著になってお り、資源を取り巻く環境も日々刻々と変化して いる。特に中国、インド等の新興国の工業化に より国際的需要の急伸により、日本を取り巻く 国際情勢は非常に厳しくなっている。

近年の資源分野が重視される世界的潮流のな か、特に世界で活躍できる資源系の技術者の育 成が喫緊の課題ともなっており、これまでも本 学は、我国の資源開発及び経済・産業の発展に 直結する人材の輩出を通じ、日本の資源外交の 一端と日本の資源学の中枢を担ってきたが、平 成26 年4 月、最新の国際的資源学分野の教育・ 研究に取り組み、世界に羽ばたく優秀な人材を この秋田の地で育成するため、「国際資源学部」 を新設し、「世界で通用する実践力と世界的教 育拠点の形成」と「将来公益に貢献する大学の 機能強化」を目指している。

印象記

常任理事 宮里 善次

平成25 年11 月9 日、秋田キャッスルホテルと秋田県民会館に於いて第44 回全国学校保健・ 学校医大会が「子供は希望。未来の力」をテーマに開催された。

午前中は5つの分科会(1)予防接種・アレルギー 2)生活習慣 3)健診・運動器健診 4)耳鼻咽喉科 5)眼科)に分かれて開催され、多くの発表とディスカッションが行われた。

筆者は第一分科会の予防接種・アレルギーを拝聴した。印象に残ったいくつかの発表を報告する。

宮城県医師会の田澤雄作先生が発表した「蔓延する子どもの慢性疲労症候群:過剰なメディア 漬け〜そして後天性発達障害」は、テレビや携帯、ゲーム機などの電子機器の過剰な使用により、 睡眠不足や慢性疲労症候群を生じる子どもの割合が年々高くなってきており、低年齢化が進んで いる状況が報告された。電子機器に関わる時間が多ければ多い程対人関係が少なくなり、必要な 人格形成が阻まれる。症例報告では対人関係ばかりか、他人との意思疎通が出来なくなった後天 性の発達障害を来した小学生の症例が供覧された。最後に親を含めて妊娠中から電子機器への関 わり方を認識させる努力が必要であると強調されたが、まさしく現代が産んだ新たな疾患と云う 印象的であった。

京都府医師会から発表された「麻しん・風しん(MR)混合ワクチンー第V期―集団接種を終えて」 も面白い取り組みであった。

平成20 年度に於ける京都府のMR ワクチン接種率はV期が全国でワースト3 位、W期が全国 ワースト2 位であった。

危機感を抱いた京都市保健福祉局は教育委員会と校長会の了解を得て、学校医会と相談をして 集団接種を行う事が決定した。

結果、21 〜 24 年度の接種率が97%弱の好成績で全国一位となった事が報告された。行政と教 育委員会および学校現場と医師会の思惑が一つに纏まれば、事態が好転する事を示した事例と云えよう。

午後は「学校における感染症」をテーマにシンポジウムが開催された。

「感染症情報収集システム(学校欠席者情報収集システム)の全県運用に向けて」を発表された 養護教諭の村上まゆみさんは前秋田県教育庁保健体育科指導主事である。

国立感染症衛生研究所が開発した学校欠席者情報収集システムを数年がかりで県下全校をシス テム化し、今年度から運用が始まっている。ソフトは無料配布なのでコンピューターがあれば運 用可能だが、行政・教育委員会・学校現場・医師会の連携がなければ不可能である。京都の発表 と同様、学校に関する問題は教育委員会の動きが要となっていることを実感する報告であった。

「秋田県医学生麻しんワクチン高校プロジェクトの効果について」も新たな取り組みであった。 秋田県医師会が企画して、医学部の学生が高校生に麻しんを分かりやすく講義することで、第四 期の接種率を高めた事が報告された。高校生からすれば年代の近い医学生に親近感を覚え、講義 内容をより理解したと思われる。また医学生は学校医の社会的任務を実感できたと報告があった。

最後に秋田大学の吉村昇学長による特別講演「資源の獲得競争に負けない日本を - 秋田から資源学の発信をー」があった。

秋田県はかって日本有数の地下資源国で、秋田大学には日本唯一の鉱山学研究科があった。しかしながら衰退の一途を辿り、現在では日本の地下資源ではレアアースの需要さえままならない状況である。

秋田大学では鉱山に関わる学部を新たに作り直し、来年度から学生を募集するが講義は全て英 語で行ない、卒業までに外国での鉱山実習を果たすものである。つまり、オール日本体制を秋田 で作り上げ、世界の鉱山で活躍し日本の役に立つような人材を育てあげる。更には世界の鉱山国 の学生を受け入れて、日本との絆を強くしたいと述べられた。我々医療界とは異なる分野であっ たが、全日本的な視野で物事を考えて実践している事に非常な感銘を受けた講演であった。

印象記

「秋の秋田に 子ども心を 物思う」

勝連啓介

名護療育園 勝連 啓介

紅葉が残る霜月の秋田千秋公園。早朝のジョギングには寒過ぎる気温2 度。手袋を忘れたこと を悔やみながら一歩一歩。その土地を走って歩いて地元の人々と少し交流。「家庭の日」を最初に 提唱した県だそうで、「秋田ながえ〜(仲がいい)家族宣言」のもと、子ども心に寄り添うことを 目標にしている地域だと。なるほど、この朝のきりっとした感覚。だから、目覚めの気持ちの切 りかえがうまくいくのかもなあ、励ましや一致団結の精神がこしらえやすいのかもなあ、などと 実感したのは短絡過ぎるでしょうか。

湯船で体を温めて会場のキャッスルホテルへ。慣れない暖房にすぐ違和感を覚えてコートを脱 いだ途端に、沖縄県医師会事務局の方々が丁寧に迎えてくれました。参加者660 名の熱気の凄い こと。「子供は希望。未来の力」をメインテーマに、第44 回全国学校保健・学校医大会の開催です。

私は名護療育園で発達支援外来を担当し、そこで出会う発達につまずきを抱える子どもたちを 通して、学校保健に関係しています。本大会分科会では「からだ・こころ分野」を受講しました。 徳島県医師会の二宮恒夫先生による「不登校の予防」が最も印象的でした。聴衆からの質問「理 由無き不登校にはどう対応したら良いか」に対して、二宮先生は「学校に行くか行かないかの二 極論ではなく、一人の子どもに様々な出来事が関連して今の状態になっていると捉えたい。理由 無き不登校はきっと無いはず」と返答されました。一見、わがままに理不尽に思えるような子ど もの気持ちにだって、その子なりの理屈や願いがきっとあるはずで、一旦大人の方がそれにくっ ついて共感を示してみることから始めたい、と動機づけられる思いでした。

実は、毎年本大会の前日に同地域で「全国学校保健研究大会」が開催されています。こちらは 保健教育に従事する教職員を中心とする大会で、文部科学省主催。主題は「健康・安全な生活を 送るために主体的に行動できる子どもの育成」。その分科会「心の健康」に参加しました。京都大 学の十一元三先生の総括では、「常に子どもはどのように思っているのだろう。子どもは大人にど うして欲しいのだろう」と子ども目線で考える必要性を説いていました。それが不登校の予防対 策にもつながるという視点です。不登校の背景に発達障害が近年よく話題になっていますが、「小 児心身医学会ガイドライン集」が参考になります。

今回、宮城信雄会長、宮里善次常務理事と旅程をご一緒させていただきました。「医師は専門性 へ邁進することが県民の為になると信じて、患者様とご家族の真の願いへの想像力を、私たちは 加齢とともに!?豊かにすること」と。帰路ずっと、そのお言葉を思い返してはどう発達臨床に 生かしてゆこうか、物思う研修でありました。多くの学びをありがとうございました。

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