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年頭所感

宮城信雄

会長 宮城 信雄

平成26 年の新春を迎えるにあたり、会員の 皆様に謹んで新年のお喜びを申し上げます。

安倍政権が誕生して早くも1 年が過ぎまし た。昨年7 月の参議院選挙で日本医師会の組織 内候補として羽生田俊前日医副会長を高位で当 選させることが出来ました。会員の皆様のご協 力に感謝申し上げます。

日本医師会は国民皆保険制度の崩壊をきた す恐れがあるとして環太平洋経済連携協定 (TPP)交渉参加に反対をしてきましたが、安 倍総理は参加することを決定しました。交渉の 段階で日本がこれまで関税撤廃をしたことがな いコメ、砂糖、麦、牛・豚肉、乳製品の重要5 項目は守ると発言をしていましたが、厳しい局 面に追い込まれているようです。さらに医療保 険制度は議題になっていないとしていますが、 民間の保険は当然交渉の対象となっており公的 医療保険制度に波及してこないかどうか注視し ていく必要があります。世界に冠たる国民皆保 険が壊れるような内容があれば交渉脱退の覚悟 も必要だと考えます。

4 月から消費税が8%にあがります。消費税が 8%の段階までは診療報酬で補填することが決ま っています。補填額は1.36%になるので0.1%の プラス改定といっても実質上1.26%の大幅なマ イナス改定になります。消費税は全額医療機関 が支払う控除対象外の税金です。消費税が10% になっても医療機関の控除対象外消費税問題が 解決出来なければ経営は一段と厳しくなってい きます。医療費削減政策と相まって地域の医療 崩壊はさらに進行するものと思われます。

規制改革会議等で過度な規制緩和の動きが強まってきています。薬は薬剤師が対面で作用、 副作用等を説明して販売するのが原則と考えま すが、一般用医薬品(OCT)のインターネッ ト販売を盛り込んだ「薬剤法・薬剤師法案」が 成立しました。規制改革会議の民間委員の強い 要望で規制緩和の象徴として、安倍総理の後押 しで実現しました。彼らはさらに処方薬のイン ターネット販売も要求しているのです。患者の 生命に係る医療本体への過度の規制緩和は患者 の安全を損なうものであり反対です。

沖縄選出の自民党の国会議員が普天間基地の 一刻も早い危険性の除去のために辺野古移設も 排除しないと方針を転換しました。普天間で小、 中、高を過ごした私にとって世界で最も危険と 言われる飛行場の出来るだけ早期の移転を望みます。

2025 年には高齢化がピークになります。そ れまでに地域の医療体制、介護体制を作り上げ ていく必要があります。そのためにも医師会と 行政がしっかりと協力・連携をしていかなけれ ばなりません。地域を一つの病棟として医療機 関同士がさらに連携を強めて行く必要がありま す。糖尿病、脳卒中、心筋梗塞を始め総ての疾 患の医療連携システムを完成させ地域完結型の 医療の構築に力を注ぐ所存です。

沖縄県の平均寿命が女性3 位、男性30 位と 順位を下げました。長寿日本一復活に向けて医 師会としても責任があり県民運動を展開して行 かなければなりません。

平成26 年午年が会員の皆さまにとりまして 希望に満ちた一年となりますよう心から祈念し 私の年頭の挨拶と致します。

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