去る9 月28 日(土)ANA クラウンプラザホテル沖縄ハーバービューに おいて開催された標記協議会(在宅医療対策協議会・地域医療対策協議会・ 医療保険対策協議会・介護保険対策協議会)について報告する。
副会長 安里 哲好
理事 比嘉 靖
監事 山里 将進
挨 拶
○沖縄県医師会 安里副会長
例年、在宅医療の分野については、地域医療 対策協議会の中で議論されていたが、今回は在 宅医療分野の重要性に鑑み、また各県の取り組 み状況について情報共有させていただくことを 目的に、在宅医療対策協議会として単独の会を 設けさせていただいた。本協議会の協議が、会 員のための一つの指標になれればと考える。忌 憚のないご協議をお願いしたい。
○日本医師会 中川副会長
中央は非常に緊迫した状態にある。来週の火 曜日に経済政策パッケージというものが出され 閣議決定される。国家戦略特区ということで、 新自由主義政策をどんどん進めようと、医療を 営利産業化しようという体制になっている。特 に、医学部の新設をしようと、被災地の東北に 一つ、特区として成田市、国際医療福祉大、ま た提案としては静岡からも上がっている。この 流れを何とか横倉執行部一丸となって阻止しよ うと戦っている。
そういう意味でも、医療提供体制の構築を我々 医師会自らがつくるのだということを示すこと が非常に大事である。その中でも、本日最初の在 宅医療対策協議会は、極めて重要で、地域医療包 括ケアの構築は是非しっかりと議論しつくって いただきたい。地域の実情に合わせたものをつく っていただきたい。よろしくお願いしたい。
○日本医師会 三上常任理事
在宅医療対策協議会は今回からということ で、これまでは地域医療の中で在宅医療は語ら れてきたが、平成23、24 年度と、在宅医療連 携拠点事業が医政局の事業として行われてお り、25 年度からは在宅医療推進事業として地 域医療再生基金の中で行われるという形に変わ った。在宅医療の基本は、通院困難者に対する 医療ということがある。100%介護が必要とい うことから、今後、介護保険の中でやっていこ うということで、介護保険の中にある包括的支 援事業いわゆる地域包括支援センター事業の中 で、このような在宅、医療と介護の連携の推進 ついても行うとことになっている。介護保険の 視点からいろいろな意見を申し上げたいと考え る。よろしくお願いしたい。
日本医師会の鈴木常任理事より概ね以下のと おり挨拶が述べられた。
医療を取り巻く環境は非常に厳しいものがあ るが、医療の中においても通常の改定の年と違い、 国民会議の報告書や消費税の引き上げ等がある が、前倒しでいろいろなことが進んできている。 在宅医療については、とにかく医師会がやるとい うことを言わないと、医療機関から自ら取り組む という姿勢を示す必要があるということで取り 組んで行きたい。よろしくお願いしたい。
協 議
<提案要旨>
国が示した第6 次医療計画の作成指針では、 「地域の実情に応じ、病院、診療所、訪問看護事業所、地域医師会等関係団体、保健所、市町 村等の主体のいずれかを在宅医療に必要な連携 を担う拠点として医療計画に位置付けることが 望ましい。」とされている。
本県では、連携拠点の位置づけとして行政や 拠点病院とも連携して地域を面として捉えネッ トワークづくりを目指してきた地域医師会が、 公平・中立な観点から地域連携の調整の役割を 果たすべきとの考えで、本年3 月末〜 5 月に県 行政と県医が合同で2 次医療圏毎に在宅医療に 関する地域医師会説明会を実施し、今後も引き 続き地区医師会などが連携拠点とて中心的役割 を果たせる様努力している。
各県における「在宅医療連携拠点」の取り組みの状況、考え方についてご教示下さい。
<各県回答>
各県ともに、平成23、24 年度における厚生 労働省の在宅医療連携拠点事業として、郡市区 医師会等が事業を受け各種取り組みを行ってい るとの回答であり、今後も地域医師会が中心と なり、二次医療圏ごとに在宅医療連携拠点が整 備されることが望ましいとの見解が示された。
熊本県では、二次医療圏毎の取り組みを推進 することを目的に、県行政と県医師会が合同で、 二次医療圏毎に在宅医療に関する説明会を行っ ているとの報告があり、また佐賀県より、「段 階的ということで、1 番上に県医師会があり、 2 番目に地区医師会を在宅医療連携拠点に位置 づけ、その下に、中学校区程度の範囲の在宅医 療・介護連携のグループを想定したグループ窓 口施設(医療機関等)を選定する。」という形 が有効ではないかとの意見が示された。
<日本医師会コメント>
どの範囲で在宅医療連携拠点を設置するかと いうことで、二次医療圏という話があったが、 やはりもう少し小さな範囲を想定したものであ る。地域包括ケアシステムの中でもだいたい1 〜 2 万人、小学校区、中学校区、ということで ある。また、どこがやるかということが一番問 題であるが、平成24 年度の在宅医療連携拠点事業205 箇所のうちで、医師会の実施が18 か 所、行政の実施が15 か所、医療機関の実施が 63 か所、訪問看護ステーションが6 か所とな っている。これまでの経験から行政か医師会が 関与したところが一番中立性公平性が保たれて いるので良いということがはっきり分かってき た。25 年度より、在宅医療連携拠点事業とし て市町村を中心に地区の医師会と連携しながら やっていこうということが決まっていたが、今 回、地域医療再生基金を使い地域医療再生計画 の中に位置づけてやるということで都道府県が 担当となり、市町村が元々予定していた連携拠 点事業が直ぐに動かなくなった。都道府県医師 会と郡市区医師会がよく話し合いを行い、その 事業が上手く連携できるような形に進めていた だきたいと考える。またその中で、地域包括支 援センターに医師会の関与がなかったという意 見があったが、地域包括支援センターを核とし てやることが一番良い。4000 箇所以上の全国 全ての自治体に地域包括支援センターがあるの で、ここに地区の医師会が十分に関与する。こ れは運営協議会だけではなく、実際に連携拠点 事業を行う地域包括支援センターに地区医師会 の先生方が十分に関与しながら、中立性、公平 性を担保しながら連携をしていくということが 一番大切だと考えている。
今後、介護保険法の中で、恒久的な制度とし て位置づけていくということで、包括的支援事 業の中、すなわち地域包括支援センター事業の 中で、こういった在宅の医療、介護連携の推進 を行うことを明記しようということが話し合わ れているところである。このことについても医 師会の先生方の理解を十分にいただき、地域包 括支援センターの活用と、そこに十分な予算が 付くような働きかけが必要となる。地域包括支 援センターは、介護と医療の問題だけでなく、 精神、自殺対策、認知症対策等にも活用できる ということで、これらの活用についても十分に 議論し、予算を付けていただけるよう働きかけ をしていきたいと考えている。
<提案要旨>
都市部においては、今後急増する高齢者数に 対して、国が現在進めている内容での地域包括 ケアシステムが適合し、地域包括ケアシステム の中心となる在宅医療連携拠点も国が考えてい る内容で適合する。
一方、過疎地においては、高齢化率は上昇す るが、75 歳以上の高齢者の絶対数はさほど増 えない状況である。
総人口の減少と高齢化率の上昇は、医療・介 護のサービスを提供する人的資源の減少を招い ており、当然の帰結として、医療・介護サービ スを提供する医療機関・事業所の減少が生じて いる。過疎地では、少ない資源の中で、急増す る高齢者数ではなく、高くなる高齢化率に対応 する必要があり、錦江町・南大隅町においては、 肝属郡医師会がリーダーシップをとり、在宅医 療を中心にした地域包括ケアシステム構築を進 めており、肝属郡医師会立病院は在宅医療拠点 として機能を発揮しつつある。
肝属郡医師会は、過疎地においては、国のイ メージと異なった地域独自の地域包括ケアシス テムの構築を行う必要があることを示している が、このような例は少なく、今後、過疎地にお いて地域の実情に合ったシステムづくりを進め ていく上で、各県において参考となる考え方や 視点、事例があれば御教示いただきたい。
<各県回答>
各県ともに、地域包括ケアシステムについて は、地域の実情を反映させた体制づくりが望ま しいとの見解であった。
大分県より、「地域包括の本当の意味は何か、 未だによく把握できていない。多職種協働とは、 それぞれの職種がきちんとそれぞれの仕事を果 たしトータルとしてまとまることで、はじめて 良い仕事になる。それを引っ張るには医師の役 割が重要になる。地域包括支援センターがそも そもあの形が良いのかということから考える必 要がある。我々から問題を出し、むしろ築き上げていくほうが大事ではないかと考える。」と 追加発言があり、佐賀県からも、「地域包括の 中において、地域包括支援センターの役割が全 く分からない。地域ケアの本会議を年に1 回、 医療介護部会を年に3 〜 4 回、実務者会議を毎 月開催等、段階的なケア会議のシステムを構築 する必要があると考える。佐賀県では、現在、 ケア会議の実施状況や包括支援センターの実態 について、現在調査集である。」等の追加発言 があった。
また、鹿児島県より、熊本県の回答に示さ れた、「中山間地域等の条件不利地域で、現在 訪問看護サービスの提供が困難となっている地 域で新たにサービスを開始する事業者に対する 補助事業を今年度から創設する。」という点に ついて詳細を伺いたい旨発言があり、熊本県よ り、「熊本県に訪問看護ステーションは130 箇 所あるが、訪問看護ステーションが無い市町村 が13 箇所ある。その様な市町村に訪問看護ス テーションを作るために350 万円程度を補助 する。それとともに、平成25 年度在宅医療訪 問看護普及啓発事業として二次医療圏毎に80 万円程補助をするという形になっている。」と 報告があった。
<日本医師会コメント>
柏モデルということで、集中化して効率良く やる、そこに医師会が関与してモデル的なこと をやるということで、これは重要だが、山間僻 地については、集中化ということで収容できる ようなところに集まっていただき、効率的に提 供する以外にないのではないかと考えている。
もう一つは、地域包括支援センターが何をし ているか分からないという話があるが、確かに 現状の地域包括支援センターはケアプラン作成 に忙殺されており、本来、地域ケア会議として、 包括的・計画的マネジメント事業、困難事例に 対するアドバイス助言を行うという事業がある が、そういったことが動いていないということ で、今回、地域ケア会議を別の事業としてやろ うということに決まった。そこに地区の医師会 の先生方が入り、助言アドバイスをするということになる。
また、協働ということが何か分からないとい うことがあったが、協働と連携は違い、協働は チームリーダがいる。連携の場合はそれぞれが 独立し連携するということで、この多職種協働 の在宅医療に関しては当然医師がリーダーとな る。地域リーダーの研修会が平成24 年度まで にだいたい終了しており、これからは地域リー ダーがそれぞれの多職種に対して研修を行うと いうことで、地区医師会の先生方が率先してそ れをやっていただくということが25 年度以降 の事業となる。その辺をご理解いただきたい。
<提案要旨>
福岡県では、平成21 年度・23 年度に地域医 療の課題解決に向けて地域医療再生計画を策定 し、国の地域医療再生臨時交付金を基金として 積み立て、平成25 年度までの事業を実施して いく予定である。その中で、介護と連携した在 宅医療体制としての在宅医療推進事業を推し進 めている。
厚生労働省「多職種協働による在宅チーム医 療を担う人材育成事業」については、参考資料 のとおり、平成24 年度は、厚生労働省が実施し た「多職種協働による在宅チーム医療を担う人 材育成事業に係る都道府県リーダー研修会」に おいて育成された各都道府県リーダーが、県内 30 の郡市区医師会単位で地域リーダーを育成す るための研修会を県行政と共同して開催した。
平成25 年度は、各郡市区医師会単位で育成 した多職種228 名の地域リーダーが、各地域 で実際に活動するための連携を深め、協議する 場としての研修会(地域リーダーのためのフォ ローアップ研修)を8 月までに開催した。
9 月以降は、県行政が各郡市区医師会と直接 委託契約し、各地域で在宅医療に係る多職種協 働研修を実施してもらう予定である。
また、今回、国から平成24 年度補正予算に 係る地域医療再生交付金が提示されており、同 交付金の活用方法については、本会で作成した骨子を県行政に申し入れをしており、それをも とに国に申請がなされている(8 月中旬に交付 決定予定)。同交付金については、県内30 の郡 市区医師会に配賦し、各々の医師会において、 在宅医療の推進のための事業を計画・実施して いただく予定としている。
上記の在宅チーム医療を担う地域リーダー研 修並びに地域医療再生交付金の活用方法につい て、各県医師会における現状をお教えください。
また、現在、在宅医療推進を図るため、国又 は県において上記事業の他にも多くの事業が実 施されているが、実際に事業を実施する県医師 会や地域医師会においては、縦割り行政のため か重複するような事業も見受けられ、対応が難 しい場合も見受けられる。
在宅医療を含む地域包括ケアに関して日本医 師会としての御意見をお聞かせ下さい。
<提案要旨>
昨年度までの在宅医療連携拠点モデル事業に 引き続き平成25 年度より3 年にわたり、介護と 連携した在宅医療体制を整備する在宅医療推進 事業と在宅医療連携体制の先進事例を県内全域 に普及するための伝道研修等の開催に関して地 域医療再生基金が交付されることになっている。
佐賀県では在宅医療連携拠点モデル事業を県 として受け、在宅医療連携拠点を8 地区医師会 に置くことを前提とし、佐賀県在宅医療連携拠 点事業連絡会議や医療圏ごとの地域医療介護連 携ネットワーク会議の開催、リーダー研修、ア ンケート調査とそれに基づく医療圏ごとの介護 マップを作成した。今年度からは地域医療再生 計画の中で、県医師会では在宅医療連携拠点連 絡会議の設置開催と拠点間の連絡調整を、地区 医師会では在宅医療連携拠点として、自治体・ 地域包括支援センターも含めた在宅医療拠点施 設運営委員会の設置や人材育成のための多職種 協働研修会、中学校区程度の範囲の在宅介護医 療連携のグループを想定し連携窓口施設を置きリーダー役として多職種協働の活動を促進する ことなどを行うこととしている。また地区医師 会独自に訪問看護ステーションの機能充実、在 宅医療介護の情報交換システム運用も同事業と して行う予定がある。
この基金やモデル事業に継続した県の事業交 付金を利用しての在宅医療介護連携に関する各 県の取り組みの計画と、それらの事業に対する 医師会のかかわりについてお伺いしたい。
○協議事項(3)(4)は一括協議
<各県回答>
多職種協働による在宅チーム医療を担う人材 育成事業については、本県を除く各県において、 平成24 年度より地域リーダー研修会等が実施 されており、今年度においても地区医師会等が 当該事業を継続的に実施していくとした回答が 示された。
地域医療再生事業との関連については、県医 師会が事業を受託し実施する県と、地区医師会 が事業を受託し実施する県とそれぞれあった が、いずれにおいても在宅医療連携拠点は地区 医師会を実施主体とする方向で在宅医療推進に 取り組む旨の見解が示された。
大分県より、「当初よりICT を活用した多職 種連携を行っているが、イニシャルコストの他、 ランニングコストが予想以上に多くかかり、在 宅医療連携の軸足をICT で大きく担うと、後 になり厳しい状況になることもある。多職種連 携は、顔の見える連携が大切であり、風通しの 良い連携が多職種協働を上手く進め、顔の見え る連携による自浄作用も期待できるのではない か。」との追加発言が述べられた。
大分県の発言を受け、地域医療連携の先進 県である長崎県より、「あじさいネットは大き く誤解されている部分がある。地域のインフラ 整備があじさいネットの一番の目的である。そ の中で、サーバーを設置する等いろいろな事業 を行っている。ICT を進める上で一番大切な ことは、セキュリティをいかに高めるか、その インフラを整備するかということだと思っている。先ずはきちんとしたインフラを医師会が整 備し、その上でそれをどう利用するか、その運 用はそれぞれの郡市医師会にかかるということ を考えている。先日の日医の医療IT 委員会の 中でも、是非日本医師会において日本中の医療 インフラを作っていただきたい、その中で、各 県医師会や郡市医師会がどう使うかということ をやっていくことが一番良いという話をした。 ICT に関してはお金がかかりすぎるので、それ ぞれの郡市医師会でやるといことは無理だと考 える。」旨の追加発言が述べられた。
また鹿児島県より、「地域医療再生基金は非 常に大事である。27 年度までこれが続くが、 今後とも地域医療再生基金を是非継続させてい ただきたい。それに加え診療報酬にそれなりの 上乗せをしながら両方でやっていくということ が非常に良い。2025 年に向け、そういう流れ の中で日医も努力していただきたい。」との意 見が示された。
<日本医師会コメント>
□鈴木常任理事
在宅医療の拠点となる地区の医師会が、地域 特性に応じて取り組んでいただければと考え る。都市型と地方型とあり、地方型については 人口が最低10 万人以上あれば医療資源もそれ なりに揃っており問題ないと考えるが、人口3 〜 5 万人のところが問題である。それ以下の人 口だと1 箇所しか医療機関がないからそこを中 心にやるしかない、そういうことで逆に見える と思うが、やはり人口3 〜 5 万人のところはそ こにある医療資源を使い、地域の医師会がそれ ぞれのやり方をつくっていくといことで、地域 包括ケアはそれだけ多様性があるということで ある。日本医師会、都道府県医師会、郡市区医 師会が中心となる必要がある。横倉会長が、在宅医療は日本医師会が中心に取り組むというこ とを強く打ち出した。これまでは在宅医療は介 護保険ということであったが、医療保険、地域 医療とまたがりやっていくこととしている。
□三上常任理事
23、24 年度は、在宅医療連携拠点事業は様々 な事業主体があったが、どうも上手くいかな いということで、25 年度からは、やはり行政 か医師会ということで、ここが一番公平性が保 たれるといことで、その方針がはっきり決まっ ていた。今回、地域医療再生基金の中でやると いうことで少し変わったが、都道府県が市町村 から引き継ぐ。同じ方針でやる。是非地区医師 会の先生が主導的にやっていただきたいと考え る。顔の見える関係が大事。これは地区医師会 の一番大きな役割ではないかと考えている。連 携を行うということについては、やはり顔の見 える関係をつくっていくことが非常に大事であ る。全国で成功事例があるが、そこではやはり カリスマ的な人達が顔の見える関係をつくって いることで成功しているということを感じる。 継続性ということについては、市町村行政を巻 き込み、常に入っていただくということも大事 である。それも地区医師会の大きな役割だと考える。
□中川副会長
地域医療再生基金は27 年度まで継続すると いうことは決まっているが、その先は政治的な 判断であり我々も強く働きかけていきたいと考 えている。各県において、県庁と県医師会との 関係に非常に温度差がある。使い勝手を非常に 良くしたはずである。県医師会主導で地域医療 再生基金の使い方を決めるということをやって いただければもっと有効に使えると考える。
印象記
副会長 安里 哲好
平成25 年度第1 回各種協議会における在宅医療対策協議会は、3 各種協議会から独立した会と して運営された。その理由の一番目として、超高齢化社会に加え多死時代を迎え、在宅医療の重 要性と介護領域や生活支援との連携が今後大きな課題となる事、二番目は介護保険の担当理事と 在宅医療の担当理事が重なる県が多い点であった。
協議事項は4 項目で、各々が互換性のある内容であった。(1)「在宅医療連携拠点の取り組み について」は、県医師会の役割は研修会を通じて助言・指導を行ったり、意見交換や情報共有の 場を設定したり、連絡会・協議会を持ち連絡調整を担い、事業に関する補助金の確保に努めてい る現状が示された。郡市医師会が在宅医療連携拠点の中心的役割を担うのが望ましいとの意見が 殆どであったが、実際的には各県とも1 − 3 地区医師会がその拠点として活動し始めている様だ。 中心となる圏域は、2 次保健医療圏や郡市医師会域を提示していたが、中学校区程度の範囲の在 宅医療・介護連携のグループ(グループ窓口施設)を選定し設置している県もあった。
(2)「地域包括ケアシステム構築に関する視点について」は、少子・高齢化時代において、支え る医療・介護スタッフも十分でない過疎地域があり、地域の実情に応じた地域包括ケアシステム の構築が望まれるのではないかと述べていた。長崎県においては、市の地域包括支援センターが 地域包括ケアシステムの構築を担ったり、市民病院や介護施設との機能的連携で行っているとこ ろもあり、また郡市医師会主導で行っている地域もあると述べていた。多くの意見は、地域によ り医療・介護資源に大きな格差があり、協議会等を中心に情報交換し、出来るだけ地域の実情を 反映した体制づくりを目指すのが望ましい点に集約された。
(3)「平成25 年度 地域医療再生計画の概要について−特に、在宅医療推進事業−」と(4)「介 護と連携した在宅医療体制を整備する事業など地域医療再生基金の各県の用途と医師会のかかわ りについて」は内容が重複するので一括で討議した。在宅チーム医療を担う地域リーダー研修は 5 県が終了していて、3 県が近日予定していると報告していた。在宅医療にかかわる地域医療再 生基金の利用状況は、5 県が在宅医療連携拠点推進事業に、2 県が在宅医療連携拠点推進事業に 加えIT 連携、1 県がIT 地域連携の更なる充実を通じて在宅医療へと進めていた。医師会のかか わりについては、県医師会と郡市医師会との共同参画、郡市医師会が中心となる県と、モデル市 町村を選定し郡市医師会の協力の下に情報共有システムを開発し全県下に広げて行く県もあった。
沖縄県は、1 次地域医療再生基金で脳卒中・糖尿病・急性心筋梗塞の地域医療連携を進め「お きなわ津梁ネットワーク」を構築し、紙パスからIT 化へと進みつつある。2 次地域医療再生基金 は、特定保健指導支援・疾患管理センターと健康教育・広報活動の部門を設置、特定健診データ ー約18 万件と糖尿病患者データー数万件の一元管理も進めている。3 次地域医療再生基金は、在 宅医療連携拠点の構築と利用者の使いやすい「おきなわ津梁ネットワーク」の充実に向けての内 容で申請し、受理された(期間はH25 年よりH28 年3 月まで)。