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第26回 全国有床診療所連絡協議会総会 (兵庫大会)

玉城信光

副会長 玉城 信光

去る8 月3 日(土)、4 日(日)の両日、神 戸ポートピアホテルにおいて開催された標記 協議会総会に参加した、2 日間のプログラムの 中で、印象に残った講演会について以下の通り 報告する。

社会保障改革国民会議の最終報告案が8 月2 日に出来上がり、同月5 日に安倍総理へ提出す る前日に田村厚生労働大臣の講演があった。

田村 憲久 厚生労働大臣講演
「今後の社会保障制度について」

社会保障制度維持の為にはアベノミクスが必 要で、0.1%の経済成長で1 兆円税収があがる。 消費税8%の時点では診療報酬で対応するが、 10%でどうするかは今後の議論になると話し た。社会保障改革国民会議の報告の中には日本 の医療は世界一だと記載している。(私には現 在の日本の医療制度を維持することが大切だと いう認識だと思われた)

国民年金に関しては裕福な高齢者は年金受給 を減額するし、また支給年齢の引き上げも検討されている。

高齢者医療を支える為にも2025 年の前に、 医療提供体制の見直しが必要で地域完結型の体 制整備が必要になる。

地域における多機能施設の連結が必要にな る。今後は診療報酬のなかでも在宅医療が重要 になるであろう。有床診療所がこれらの連携の 中心になる必要がある。

有床診療所の入院基本料には看護師配置の問 題があり今後の検討課題である。有床診療所は 赤字だが無床にすると黒字になったというので は問題の解決にはならない。

医学部の地域枠が定員割れになったり、都会の病院が奨学金等を支払う等、医師の引き抜き を行っているとの話もある。

かかりつけ医がゲートキーパーの役割を担 い、フリーアクセスを少し制限し、軽い病気で 高度な病院へ行かないようにする必要がある。

看護師の登録を行い、潜在看護師の把握をしたい。

70 〜 75 才の前期高齢者の医療費負担を新しく70 才になる方から2 割負担にする。

国保の運営を県に移管する問題は、今後の医 療提供体制の整備は県が中心になるので県で国 保を管理したほうがよい。

健保連の健診データの活用について個人情報 の制限はないのでしっかり活用して、国民の疾 病予防、健康維持に努められるようにする。

宇都宮 啓 厚生労働省保険局医療課長講演
「地域包括ケアと有床診療所」

今後高齢者人口が増加するのでcure からcare への転換が必要になる。お年寄りの病気を治す という概念でみないことが必要である。老人医 療を医学部教育の中にいれていく必要がある。

お年寄りをcare するうえでは地域の役割が 重要になってくる。高齢者のみの世帯や移動能 力の低下で生活の範囲が狭まる。また認知症の 問題も大きくなる。

2025 年までに30 分圏内にお年寄りの生活の 安心、安全、健康を確保する政策を行う。

医療は自己での回復能力を求めるが、現在の 介護では自立する姿が見えてこない、お年寄り が自立できるような支援が必要であり介護の見 直しが必要になる。(要支援の人を介護保険の サービス対象から切り離す政策)

今後1)医療、2)介護、3)予防、4)生活支援、5)高齢者が住み続けられる住宅の5 つの視点で政策を進めていく。

「地域包括ケアシステム」の構築をする中で 医師の役割は大きい。医師が中心になりすすめ て頂きたい。

今後「自助」「互助」「共助(保険)」「公助」 の力を結集してお年寄りが住みやすいコミュニ ティーの再生を図ってきたい。

二つの講演を聴いて思うことはお年寄りが自 立できる政策を構築していくことが社会保障を 守ることになる。これまでは急性期医療に力を入 れてきたが、高齢社会では高齢者の自立支援が必 要になり予防医学の推進が重要になる。特定健診受診率の向上が求められてくる。それらの健診情 報を有効活用して疾病予防を真剣に考えている ようである。また介護の見直しがすすめられそう である。介護は良くなる方向ではなく介護支援を 受けている人は徐々に重症化していることを問 題にしてくるようである。医療も病院等ではなく 在宅を中心に行われるとの政策が決定されてい るようである。地域コミュニティーの中で高齢者: 団塊の世代が元気で生きていける社会を造ろう としているように思える。そのためにはまず自分 で元気になり、地域で支え合い、保険でカバーし 最後に国が面倒をみるシステム作りに向かいそ うである。この様な国の方向性を基本に県医師会 の活動をすすめる必要があると思われた。




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