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ピンクリボン運動月間 〜乳癌検診を考える〜

比嘉国基

豊見城中央病院 乳腺科 比嘉 国基

ピンクリボンとは乳癌の正しい知識を広め、 乳癌検診の早期受診を推進することなどを目的 として行われる世界規模の啓発キャンペーンで ありシンボルです。日本でも毎年10 月にピン クリボン運動が行われ、沖縄県でも2008 年か らピンクリボン沖縄として10 月に啓発活動を 行っています。

ピンクリボンの認知度は年々増しており、む しろ知らない人の方が少ない印象を受けます。 しかし残念な事に乳癌罹患率、死亡率が右肩上 がりに対し検診率は20%程度の低い状態が続 いています。ピンクリボンを知っていても、乳 癌は初期の段階ではほとんど自覚症状がないた め、ついつい自分は大丈夫だと考えてしまう女 性が多いのが現状です。

乳癌になりやすい人は以下の事が言われてい ます。1:初潮の早い人(11 歳以下)、2:閉経 の遅い人(55 歳以上)、3:妊娠・出産歴がな いあるいは30 歳以上の初産、4:血縁者に乳 癌がいる、5:閉経後の肥満などがあげられま すが、内容的に予防することは難しい事がお解 り頂けるかと思います。

ですから早期発見・早期治療なのです。

早期発見にはやはり乳癌検診を受けることです。

乳癌検診といえばマンモグラフィがすぐに思 い浮かぶと思いますが、注意しなければならな い点があります。

マンモグラフィでは乳腺は白く、脂肪は黒く映 ります。腫瘤(しこり)は白く映りますので、正 常な乳腺密度が高い人は残念ながらしこりをマン モグラフィで発見できないことがあるのです。

乳腺密度の高い人はマンモグラフィだけでは 不十分になる可能性があります。

私達専門医はそれを補うために超音波の併用を勧めています。それでも不十分な人には MRI を施行することもあります。

このように状況に合わせて検査を追加するこ とで早期発見に努めています。

しかし検診率が低いままですとどうにもなりません。

マンモグラフィを受けたことがない人に、「あ なたの乳房はマンモグラフィだけでは不十分で す」とは言えません。いろいろな情報を得るた めにも、まずは乳癌検診に足を運んで頂きたく 思います。

乳癌になったら!! 講演をしますと必ず質問されます。

乳癌治療は日々進歩しておりホルモン治療、 抗癌剤、分子標的薬など再発予防の治療が充実 してきました。

また一番気にされる手術においては乳房温存 術が広く普及しています。残念ながら乳房全摘 をしなければならない方にもインプラントによ る再建術が2013 年7 月保険適応(認定施設の み)になり、それぞれの希望に沿った治療が可 能になってきました。

乳癌はいろいろな治療方法が確立していま す。また沖縄県は乳癌専門医数は少なくありま せんから、標準治療が適切に受けられる環境に あります。

16 人に1 人が乳癌になる時代ですが、早期 発見・早期治療(標準治療)で乳癌は治る可能 性の高い病気であることを知って頂きたく思います。

ピンクリボン月間に限らず、市町村検診や人 間ドックの利用、心配な方や自覚症状ある方は 専門医を受診することをお勧めします。