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那覇市保健所 所長 国吉 秀樹 先生

国吉秀樹先生

まだまだ未熟ですが、頼れる 保健所・フットワークの良い保 健活動の実現を目指して頑張っ てまいります。重要な健康課題 も多い中、これからもよろしく お願いします。

質問1. 那覇市保健所初代所長ご就任おめでと うございます。ご就任に当たってのご感想と今 後の抱負をお聞かせ下さい。

ハイサイ!グスーヨー、チュウガナビラ。ガ ンジューサ、ソウティ?

平成25 年4 月1 日に那覇市が中核市へと移行 しました。中核市としては全国で42 番目という ことになります。中核市となることで、多くの事 務権限が県から市に移されましたが、中でも最も 大きいのが保健所の設置です。ここでこれまでの 保健所の歴史を簡単にご紹介させてください。

3 月までは、県の中央保健所が那覇市を含め た2 市1 町7 村を管轄していたのですが、中 央保健所の歴史は古く、昭和45 年に現在のパ レット久茂地あたりの那覇市久茂地に「保健所」 として設置されたのが始まりです。昭和47 年 5 月15 日、本土復帰と同時に、那覇市寄宮に「沖 縄県中央保健所」を設置、那覇市を管轄区域と しました。施設設備を充実させるために平成8 年12 月に現在の与儀に移転しました。平成11 年には、所管区域が那覇市に加えて、浦添市、 島尻郡の渡嘉敷村、座間味村、具志川村、粟国村、 渡名喜村、南大東村、北大東村の計2 市8 村に なりました。そして平成25 年3 月31 日をもっ て中央保健所は閉じましたが、県でも中核的な 保健所として活動してきました。

那覇市保健所の設置にあたっては、準備のた め市職員はもちろん、県担当部局や中央保健所、そして多くの関係者にご尽力をいただいていま す。この方々のご努力を活かせるよう、所長と して緊張感を持って毎日の業務を勤めてまいり たいと思います。立ち上がったばかりで、もち ろん未熟な面が多々ありますが、新しい保健所で、 新しい職員と向き合い、新しい施策を進められる のは行政で働く医師として望外の喜びでもあり ます。身の引き締まる思いですが、関係者の皆様 にご指導ご支援をいただきながら、少しでも確か な仕事をしていければと思っています。

質問2. 那覇市の中核市移行に伴い、那覇市保健 所が開設され、県の健康増進課長を経験された国 吉所長への期待は大きいかと思いますが、今まで の保健所との違いや、国吉先生が目指す運営方針 がありましたら、お聞かせ頂けるでしょうか。

那覇市保健所が中央保健所と大きく違うの は、本庁機能を同時に備えているところです。 那覇市保健所は市の健康部に所属しますが、健 康部には5 つの課があり、うち3 つの課(健 康増進課、地域保健課、生活衛生課)が保健所 にあります。各課はそのまま那覇市の組織なの で、保健所の課長は市議会対応も行います。質 問取りもすれば答弁書も書き、これはなかなか 大変ですが、予算の編成や事業の立ち上げがで きるわけですから、やり甲斐があると言えます。 もちろん、間違ってはいけないというプレッ シャーも伴います。

私は昨年度まで県の健康増進課長でしたが、 業務として特に多くの時間をかけたのが感染症 対策と健康づくり政策です。感染症を含む健康 危機管理対策は重要かつ、保健所を持つことで 市の機能が強化されますので、新型インフルエ ンザ行動計画策定などを通じて、是非充実させ ていきたいところです。

また今年度から県では、健康長寿復活に向け て、福祉保健部だけでなく各部の主要政策でも 健康を意識し予算化していく「健康長寿おきな わ推進本部」を立ち上げ、全庁体制で取り組む ことを明らかにしました。これまで他県にも見 られない画期的なことだと思います。今後は全 県あげて運動を盛り上げる県民会議(仮称)開 催が予定されており、那覇市としても県や各団 体と連携して健康づくりの体制を強化していき たいと思っています。沖縄振興特別推進交付金 (一括交付金)を活用しての事業も企画しやす い環境が整ってきましたので、独自のメニュー を今準備しているところです。

質問3.「頼れる保健所。フットワークの良い保 健活動」をモットーにされていますが、市民に 対してどのような健康サービス提供を行ってい かれるのかお聞かせ下さい。

「頼れる保健所。フットワークの良い保健活 動」というのが那覇市保健所のモットーとする ところですが、まず直接の保健サービス提供の 主体である市であることは、県型の保健所と比 べてもスピード感があります。これまで、風疹 予防接種への助成や結核の集団感染への対応が ありましたが、いずれも保健所で判断し、健康 部として早々に総務や財務部局、さらに上層部 と調整し、数日で予算化、実行することができ ました。教育委員会等との相談も、直接保健所 長が学校教育部長と何回か話すことで円滑に進 んだと思います。これがフットワークの良い例 としてあげられるかと思います。

もちろん市としては技術行政の出先機関を持 つことで、これまで以上に確かな根拠を持っ て、健康サービス提供にPDCA サイクルを回 していけるのが望ましい姿だと思います。ただし、技術行政の核を担う技術職である医師、保 健師、栄養士などは経験が少なく、まだまだ勉 強することが山のようにあります。所長として は、県とも連携しながら、人材育成に力を入れ ていくことが重要だと認識しています。技術職 はもとよりその専門性を発揮して様々な健康課 題に対応しなければなりませんが、今日多くの 専門職が地域にある状況で、なぜ行政でこのよ うな職が必要かという総合力、説明力が求めら れてきます。これは「那覇市の保健所は必要だっ たか?」ということにも結びついていくところ ですので、なんとか頑張ってまいりたいと思います。

保健所業務である精神保健や育成医療等の業 務を持つことで市町村業務との有機的な連携が 取れ、サービスの提供がより迅速かつきめ細か くなるというメリットは、開所する前から申し 上げていたところでした。1 年後には具体的な 成果をご説明できるように、モニタリング指標 を準備していきます。

質問4. 県医師会に対するご意見・ご要望がご ざいましたら、お聞かせください。

各地区医師会の先生方には、これまで個人的 にもいろんな場面で大変お世話になりました。 私は八重山以外の県の保健所を全て経験しまし たので、それぞれの地区で、また県健康増進課 長在職中も、課題にあたっては常に連携させて いただきました。具体的な仕事では、宮古での 「脳出血ゼロ作戦」、北部での「糖尿病・CKD 地域医療連携パス事業」、などが印象に残って います。いずれも目に見えて成果を出すことの できた活動でした。最近は県医師会会員で同世 代の先生方と公式非公式に連絡することが多く なり、ますます連携が取りやすくなっていると 感じています。

平成21 年のパンデミックインフルエンザ対 策を思い返しても、有事に頼りになるのは医師 会だと認識していますので、これからもよろし くお願いいたします。近々のテーマとして、例 えば地域医療連携や地域包括ケアシステムとい う大きな課題がありますので、今後意見交換させていただければと思います。

質問5. 最後に日頃の健康法、趣味、座右の銘 等がございましたら、是非お聞かせください。

趣味と言えるのは、以前に貴誌にも書かせて 頂きましたが、男声合唱団に所属してバスパー トを歌っていることがあります。入団して4 年 目ですが、これまで大小の演奏会で、3 度くら いソリストをさせていただきました。年に1 回 は大きな発表の場もありますので、今後とも長 く続けていきたいと考えています。ちなみに沖 縄男声合唱団は団員を募集中です。

また、実はダイエットも趣味というか興味を 持って取り組んでいます。県庁で仕事をして1 年半くらいで、様々な理由から10kg 以上体重 が増えてしまいましたが、何とか研修医時代く らいまで落とすことができ、たまに会った人か ら驚かれたりほめられたりしております。今後 とも油断せず節酒、毎日体重測定、よく歩くこ とを心がけたいところです。

この度はお忙しい中、ご回答頂きまして、誠 に有難うございました。

インタビューアー 広報委員 本竹秀光