理事 石川 清和
去る8 月14 日(水)、ラグナガーデンにお いて、おきなわ津梁ネットワークの説明会を行 いました。はじめに、安里副会長からの沖縄県 の健康長寿の危機的な状況と、おきなわ津梁ネ ットワークの事業の概要の説明が行われた後、 副担当理事である私より、外来における特定健 診の検査結果を参照する手順の説明を行い、砂 川糖尿病部会長より、おきなわ津梁ネットワー クを活用した糖尿病地域連携パスの運用方法お よび登録した患者さん約2200 名のデータ解析 の報告、さらにハートライフクリニック院長の 山本壽一先生より、紙ベースで行っている「糖 尿病地域連携パスシステム」について報告して いただきました。多くの会員施設に参加して頂 き、おきなわ津梁ネットワークの可能性を共有 できたと感じる説明会でした。
おきなわ津梁ネットワークは特定健康診査を 基本情報に各医療機関における検査結果や、患 者指導の情報、さらには脳卒中、糖尿病、心筋 梗塞等の地域連携パス情報、診療情報提供書等を集積・共有し健康長寿再生に向けた取り組み を目指しています。現在、特定健診・特定保健 指導、健康教育・広報、在宅医療ネットワーク 等も、おきなわ津梁ネットワークを活用して取 り組んでいく予定にしており、準備が整い次第 順次スタートしていく予定です。
これは、平成21 年度から始まった地域医療 再生計画1 次を基盤に取り組みが始まり、平成 23 年度からの地域医療再生計画2 次、今年度 から始まる3 次計画で継続して取り組まれている事業です。
おきなわ津梁ネットワークを構築するに当た り、最大の配慮が必要であった個人情報の守秘 については、端末からデータセンターへアクセ スする際にVPN と呼ばれる特殊回線を構築す るためのID・パスワードと、さらにデータベ ースへアクセスするためのID・パスワードを 必要とする2 重のセキュリテイを設定しまし た。これによって、おきなわ津梁ネットワーク へアクセスし患者情報を得ることはパスワードを取得しない限り、ほとんど不可能になりまし た。それでも個人情報が流出した時の対策とし て、賠償保険に加入する予定です。
おきなわ津梁ネットワークについては、ホー ムページを立ち上げており、詳しい内容を順次 載せていきます。(アドレス記入http://www.shinryo.okinawa.med.or.jp/)
例)外来の新患で特定健診情報を活用した診療や保健指導…
1. 患者さんへ「おきなわ津梁ネットワーク」へ の参加を呼び掛け、同意(同意書への署名) を得る。
2. 専用端末などにVPN(セキュリティソフト) 証明書を発行するためのID・パスワードを 入力し、システムに接続できる端末を制限します。
3. おきなわ津梁ネットワークへアクセスし、 ID・パスワードによる認証を行います(いつ・ 誰が・どこでアクセスしたのかを把握するこ とで、セキュリティを強化します)。
4. 患者さんの氏名、性別、生年月日、保健番号 等の簡単な情報を入力し、患者さんを登録します。
5. おきなわ津梁ネットワーク内における、患者 さんのパスワードが発行されます。
6. このパスワードを入力すると、データセンタ ーから、患者さんの過去5 年間の健診データを呼び出すことができます。
〔同意取得時のポイント!〕
○おきなわ津梁ネットワークより、患者さん自身の 過去5 年間の特定健診結果が閲覧できますので、効率的な診療支援・保健指導につながります。
○今後は参加医療機関の全ての検査結果がパソコン 上で共有でき検査の無駄を省くことができます。
○救急外来受診時に活用すれば、検査結果や投薬状 況が参照でき、速やかに疾病の治療に結び付けられることが可能となります。
○患者情報が2 重のセキュリテイで守られています。 等々を説明すると、短時間で納得し、同意して頂けます。
これによって、自院で検査を行っていない医 療機関でも新患の受診当日に過去5 年間の特定 健診の結果を基にした診療・療養計画、患者指 導等を行うことができます。特定健診結果がな い患者さんに対しては、特定健診受診を勧める ことができます(当分の間は国保・社保(協会 けんぽ)の患者さんに限定されるが県内の40 歳〜 75 歳の対象者は約50 万人います)。
他の医院で既に、おきなわ津梁ネットワーク へ登録されている患者さんは、患者さんが提示 するパスワードを入力するだけで、その患者さ んの他院での検査結果や特定健診結果を参照す ることができます。
今後多くの医療機関が、おきなわ津梁ネット ワークへ参加することによって、より多くの患 者さんの検査結果が、おきなわ津梁ネットワー クで参照することができるようになり、患者さ んにとっても、参加医療機関にとっても、より 利便性の高いネットワークが構築できると考え ています。また、特定保健指導部会では患者指導用テキストやマニュアルが作成されており、 これを利用することによって、より効果的な患 者指導ができます。また今後新たに立ち上げる 健康教育・広報部会では患者さんへの指導・啓 発ツールの開発、医療機関・患者さん双方への 広報に取り組んでいく予定です。おきなわ津梁 ネットワーク参加希望の先生はP39 の参加申 請書にご記入いただき、沖縄県医師会宛にご提 出いただくか、詳しい内容につきましては、沖 縄県医師会事務局へお問い合わせ下さいますよ う、お願い申し上げます。
おきなわ津梁ネットワークは、沖縄県医師会 と沖縄県や市町村、全国健康保険協会沖縄支部、 また民間の検査会社等が協力しオール沖縄とし て本県の健康長寿再生を目指し積極的かつ効果 的に取り組むための事業です。おきなわ津梁ネ ットワークを活用し、特定健診の受診率向上や 重症化予防、各医療機関の役割に応じた効果的 な医療提供等を実践していきたいと考えていま す。会員の先生方におかれましても、是非おき なわ津梁ネットワークにご理解とご参加を賜り ますよう、重ねてお願い申し上げます。