会長 宮城 信雄
去る7 月23 日(火)午後2 時20 分より日 本医師会館において標記協議会が開催された。 はじめに三上裕司常任理事の司会により開会の 辞があり、引き続き、日医横倉会長より概ね次 のとおり挨拶があった。
横倉義武日本医師会長
7 月21 日に実施された参議院議員選挙にお いて、本会副会長の羽生田俊先生が約25 万票 を獲得し、見事当選を果たした。この場を借り てお礼申し上げる。この度の選挙では与党が過 半数を占め、政府与党の政策がスピード感を持 って進められていくであろう。しかし、ある意 味我々にとって大きな重荷になるであろうと感 じている。そのため日本医師会としては羽生田 先生を始めとする多くの医系議員を通じて、日 本医師会の主張が政策に反映できるよう働きか けを一層強めていくつもりである。特に、本日 からTPP 参加交渉が始まり、また経済財政諮 問会議の議論を通じて、規制緩和の名の下に国 民皆保険制度が崩壊へと向かうことがないよう 政府の動きを注視しながら対応していきたい。
また、医療事故調査制度の創設については、 これからが正念場と考えている。日本医師会の 考えが多く盛り込まれた厚労省の医療事故に係 る調査等の仕組み等のあり方に関する検討部会 の報告書の結論が本年秋の国会に提出される予 定の医療法改正案に組み込まれるかどうかとギ リギリのところである。具体的な法律案が策定 されていく中で日本医師会の見解を政府へ確実 に伝え、法案に反映させることが重要であると考えている。
前回の代議員会で述べさせていただいたが、 医師会の組織強化に向けた方策については、現 在会内で様々な検討を進めている。具体的な方 策としては、すべての医師が医師会に入会する ような強制力を持ったものから、既存の枠組み を唱えるものまで幅広く検討を行っているが、 いずれの方向に関わることとして、会員情報の 管理やシステムに係る再構築の問題がある。現 在の日本医師会の会員情報の入会や医療情報の 反映にどうしてもタイムラグが生じてしまう。 郡市区医師会のデータベースと互換性がないこ となど課題がいくつかある。入退会に関わる情 報の入力等の反映に関しては、郡市区医師会に 提出されてから、日本医師会で情報処理がなされるまで平均して約47 日のタイムラグが生じ ている。情報の正確性に関しては、日医雑誌、 日医ニュース等の定期刊行物を発行している が、その不着状況を見る限りその正確性は確保 されているかと思う。このようなことから日本 医師会は情報の入力時間をいかに短縮できるか 今後検討を行っていく予定である。突き詰めて 言えば、郡市区医師会において入力したものが 都道府県医師会、日本医師会とオンラインで結 べるような状況であれば、このような問題は解 決できると思う。その際は都道府県医師会から のご協力をお願いしたい。
また、組織強化を進めるにあたっての医師会 の旗印となる日本医師会綱領であるが、その内 容のさらなる周知・徹底を図るべく、現在掲示 用のポスター等の作成等を行っている。出来上 がり次第、広く配布する予定であるので、積極 的にご活用いただければと思う。また、強い医 師会をとご意見を賜っている。今回の参院選で 団結というものが見えてきたと思うが、社会的 には公益性をしっかり主張しながら会内には一 度決めたことへ皆が協力し、目的達成に向け邁 進する団結力が強く望まれることであると思う。
執行部一同、今後も一環として改革と継続を 訴えながら、すべての国民が過不足なく最適な 医療を受けられるようかかりつけ医を中心とし ながら、地域包括的ケア体制に全力を尽くして いきたいと思う。各都道府県の先生方におかれ ましては、さらなるご指導・ご鞭撻をお願い申し上げる。
引き続き協議に移り、各県から寄せられた質 問事項や日本医師会から提案された議題等につ いて協議・報告が行われたので概要について報告する。
協 議
<提案要旨(抜粋)>
現在、急速に高齢化が進む中、国の施策とし て、高齢者の居住の安定を確保することを目的に「サービス付き高齢者向け住宅」の整備が推 し進められているとともに、都市部において、 介護施設の用地を確保することが困難であるこ とを理由に、都市部の高齢者を地方に移住させ る方策が検討されている。これらに対し関係す る郡市区医師会からは、「医療・介護資源(財 源含む)の供給不足」や「救急時の医療体制」、「不 適切な事業者への指導・監視体制」等について 不安視する声があがっている。本会としては、 これら問題を解消するため、市町というコミュ ニティの単位で、地域医師会を中心とした他職 種における連携ネットワークを構築すべきと考 え、ICT を活用した「静岡県版在宅医療連携ネ ットワークシステム」を構築しているが、県か らは「サ高住」の供給および特別養護老人ホー ムの建設に伴う医療体制等について、医師会に 相談・情報提供がされず、諸問題が協議されな いまま、整備が進められることを危惧している。
日本医師会においても問題視されているかと 思うが、その協議状況及び日本医師会の見解を ご教示いただきたい。
回答:高杉常任理事
サービス付高齢者向け住宅には、生活相談サ ービスが義務付けられているだけであり、医療 や介護サービスは義務付けられているものでは ないことから、一般的な賃貸住宅に近い形態と 言える。その上でサービス付高齢者向け住宅に ついては、入居者を高齢者に限定していること や、要支援・要介護の入居者が多いことから、 一定程度は医療が提供されている状況である。 本会では、介護給付費分科会において、サービ ス付高齢者向け住宅の実態把握を昨年8 月に行 い、約1 割のサービス付高齢者向け住宅におい て診療所が併設されていることが確認された。 ただし、中医協においても、サービス付高齢者 向け住宅に関する不適切事例が指摘されてお り、今後ともそれぞれの審議会で発言していき たいと思っている。
ご提案のようなネットワークシステムの活用 を駆使して、サービス付高齢者向け住宅と医療 機関との連携が適切に構築されることが望ましいと考えている。
一方、都市部の高齢者を地方に移住させる方 策については、重度の要介護状態になっている 場合、家族や地域から切り離して移住すること がないよう留意が必要である。今後、急速に高 齢化が進む都市部の高齢化対策については、高 齢者のニーズに応じた方策を検討する必要があ ると考えている。今年5 月に設置された、都市 部の高齢化対策に関する検討会において、地方 での都市部からの高齢者の受入時の課題と対応 策ではなく、都市部でのサービス体制も含めて 検討が行われている。本会としては、検討会に 対して居住先の医療並びに介護提供体制に関わ る問題であることから厚労省を通じて申し入れ を行い、今後も意見を述べていく。
<提案要旨(抜粋)>
現在、日本医師会では、周産期・乳幼児保健 検討委員会において、成育基本法(仮称)の制 定に向け検討されていると聞いている。1991 年以来、日本小児科医会等を中心に、小児保健 法という名称で20 年以上検討が重ねられてき た本法の成立には、2008 年に日本医師会小児 保健法検討委員会で答申を出し、法案まで検討 した経緯があるが、民主党への政権交代後は足 踏み状態になっていたようである。現在は議員 立法の制定に向け、取組まれているここと思う が、法制定に向けた、日本医師会の今後の具体 的な取組方針をお伺いしたい。
回答:今村定臣常任理事
平成19 年度に設置した小児保健法検討委員 会の答申を受け、日医は当時の政権与党に働き かけをしてきた。その際、議員から実際の法案 作成に向け、小児医療・小児保健に対する具体 的な地域の実態を明らかにして欲しいと要望 があり、平成20 年9 月都道府県郡市区医師会 を対象にして各地域における小児医療費助成制 度、乳幼児保健、予防接種に関する調査を実施したところ、地域による格差が浮き彫りになっ た。さらなる関係方面への働きかけをしている 矢先、歴史的政権交代により、事実上ロビー活 動を中止せざるを得ない状況となった。その後 も小児保健法の制定を望む声は多く、今期の周 産期乳幼児保健検討委員会に対する会長諮問を 「母子保健法の課題とあるべき方向性、(小児保 健法の可能性も含めて)」と題して、改めて検 討をお願いしたいと考えている。小児保健法案 の際には、対象年齢を明らかにしていなかった ことに対して、今期の検討委員会ではより幅広 く対象を捉え、周産期、小児期、思春期を経て、 次世代を育成するライフサイクルという新たに 成育の概念を導入し、名称を「成育基本法(仮 称)」として、現在法律案を含め検討いただい ている。安心して女性が妊娠して出産し子育て を行い、子どもが地域社会の中で健やかに成長 し、次の世代を生み出す健康な成人に育ってい くことが保障される社会を形成することは極め て国家的な課題である。このような観点から、 次世代の健やかな成長を促す基本法は必要不可 欠であり、本委員会の答申を受け、会内の合意 を得た上で制定に向け改めて強力な働きかけを 行う所存である。法制化においては、恐らく各 法ではなく、議員立法になるかと思うので、政 権与党を中心に幅広く政党に働きかけをしてい く。今後は先日の参院選において当選を果たし た羽生田先生と協議をしながら、法制定に向け て努力をして参るので、その際は各都道府県医 師会においても御理解と御協力を賜りたいと思 うのでよろしくお願い申し上げる。
<提案要旨(抜粋)>
日医「医事法関係検討委員会」の答申書「医 療基本法の制定に向けた具体的提言」に至る背 景の検証によれば、「昭和36 年の国民皆保険制 度達成を受けて、当時危惧されていた医師・患 者間の信頼関係の崩壊、医療提供者・患者・保 険者間に沸き起こった不信感などを背景にその 解消をめざしたもの」とある。それが医療基本法制定の最大要因であるならば「期限そのもの が相当危うい」との感は拭えない。医療基本法 そのものに対する姿勢としては「あくまでも基 本法としての大枠に留めるべき」とする一方で 「患者の権利のみを強調した法律の制定は適切 ではない」と踏み込まなければならない現状を どのように整合させるつもりなのか。現時点で、 患者や擁護の姿勢を前面に押し出すことなく、 日医会員の権利擁護に少しでもシフトした姿勢 が本法の蔭にチラつくだけで、日医のありよう が改めて厳しい国民の目に晒されることになると思う。
回答:今村常任理事
医療基本法を提言すべきという意見は、会内 委員会である医事法関係検討委員会おいて平成 22 年及び24 年の報告書を通じて論じている。 執行部ではまだ正式に方針として取り入れてお らず、各地域のシンポジウムにおいて会員各位 のご意見を伺っているところである。今後は各 地でいただいたご意見を踏まえつつ、日本医師 会の進むべき道を考えていきたい。仮に医療基 本法を今進めるべきでないというご意見が相当 数に達したと判断した場合、執行部としてはこ れを押し切ってまで議論を無理に進めるべきで はないと考えている。
まず、医療を取り巻く法律の体系があまりに も複雑かつ無造作になり、それらに共通した親 法がなくては医療に関する法体系を整理するの は難しい。医療法が医療における基本法の役割 を果たしており、医療法改正ごとに当局による 政策誘導が行われ、その度ごとに医療現場は大 きな混乱を余儀なくされている。私共はあくま で医療法は本来の趣旨である施設基準・人員配 置基準を定めることに限るべきであり、医療に 関わる基本的な視点は医療基本法にこそ求める べきであると考える。
次に、なぜ日本医師会主導なのかについてで あるが、医療基本法の議論は様々な立場の団体 から提言が出されている。過去5 年程の議論を 見ると、厚労省のハンセン病問題に関する検証 会議提言に基づく再発防止検討会が患者の権利の法制化についての議論の結果として、医療基 本法が必要であると平成21 年に公表をしてい る。それ以降、各団体が医療基本法の考え方を 示しているが、日医は医療基本法の実態が患者 の権利法であってはならないと感じている。患 者の利益を守ることは医師の重要な責務である が、それのみを強調した法律が制定されれば、 医療のあり方を歪めてしまうものと大変危惧し ている。したがってバランスのとれた医療基本 法のあるべき形を、医療提供者の代表である日 本医師会が示していくことが重要であると考えている。
さらに言えば、日本国憲法に「医療」という 文言がないことに鑑み、国民にとって最大の関 心事の一つである医療のあるべき姿を、医療の 担い手を代表する日本医師会が高らかに謳うこ とは極めて意義深いことと考えている。大事な 部分はその分野に関わる多くの立場の人が納得 するバランスである。患者の擁護を前面に出す のではなく、日医会員の権利擁護の蔭がちらつ くとのご指摘であるが、これまで開催したシン ポジウムにおいては患者団体からの高い評価を 得ている。去る5 月に開催された近畿ブロック シンポジウムでは会員の先生方からのたくさん のご意見を頂戴したので、医事法関係検討委員 会に草案についての再検討を始めている。引き 続き、ご意見賜るようお願い申し上げる。
<提案要旨(抜粋)>
我国におけるリフィル処方箋は「チーム医 療の推進について」(平成22 年3 月19 日チー ム医療の推進に関する検討会取りまとめ/厚 労省)において、薬剤師業務の範囲拡大に関 する今後の検討課題として初めて導入が明記 された。
国としても、「チーム医療」を推進し在宅医 療を推し進める中、リフィル制度を導入し患者 の受診回数を減らすことで医療費削減を検討し ていくと思われる。平成14 年に、1 回30 日分 を超える長期処方が緩和された際には、医師の 「予見し得る範囲」でとの制約があり、副作用等有害事象が発現した場合は医師の責任が問わ れるとの論調があったかと思う。このリフィル 処方箋も、最終的な責任は医師に及ぶものとの 危惧している。
医師が責任を持って処方した日数を超えない うちに対面診察を行って、その上で処方内容の 継続・変更を判断するのが医療安全を含め医療 を行っていく上での原理原則であることを強調 していくことが望ましいと考える。
回答:鈴木常任理事
リフィル処方箋は、リフィル(refill =詰め 替える、補充する)の言葉どおり、米国では 医師の指示した回数内で反復利用可能な処方箋 とされ、平成21 年から3 月まで開催されたチ ーム医療の推進に関する検討会報告書には将来 的な可能性として記載されている。我国におい てリフィル処方箋について定義は示されておら ず、その後具体的な検討もされていない。ま た、直近の平成25 年第11 回チーム医療推進 方策検討ワーキンググループにヒヤリングした 際、日本薬剤師会の要望の中に、患家において 医師の処方せんに基づき、内服薬等の計数調剤 を行うこと及び調剤した薬剤を患家にて交付す る際、残薬状況や患者の状態等に応じて処方医 への疑義照会を行った上で薬剤計数変更を行う こととあったが、リフィルについては含まれて いなかった。我国では、長期処方における医師 の求める範囲内での分割調剤は、現行の制度の 下で運用が可能となっている。その場合、薬局 は事前に処方医に確認をとり承諾をとらなけれ ばならない。平成22 年度の日医総研のパイロ ット調査によると、長期処方のきっかけとして 患者からの要望が約6 割となっているが、長期 処方のリスクとして患者への病態変化への気づ きが遅れる可能性がある。患者からの要望であ っても患者の安全は最優先されるべきであり、 医療安全の立場から長期処方は好ましくない。
日本医師会では、定期的な通院による投薬が 必要と考えている。万一、国がリフィル処方箋 を導入し推進することがあれば、日本医師会と して認めることはできない。これからも患者の安全・安心を最優先する立場からこの問題に取 り組んでいくつもりである。
<提案要旨(抜粋)>
最近は、専門医・総合医、混合診療容認、 TPP、医学部新設、専門看護師、日本医学会 法人化、自由開業の規制、ゲートキーパー、成 長戦略等、日本の将来の医療の姿を予測させる ような出来事、発言がそこかしこにみられる。 国民のためにならない政府や官僚、その意向を 受けて行動する人達、これらの外圧に対抗し日 本の医療を守るべき活動が今求められている。 そのために日本医師会の中に「将来にわたり日 本の医療を検討し、あらゆる圧力をはねのける」 ための委員会が必要ではないか。また、政治に 対する取組み方も真剣に考えなければならない 時期に来ているのではないか。現在の政党の姿 を見ると、私達医療の専門家が支持できる政党 がどこにあるのか。将来に向けては、全ての医 療関係者がひとつにまとまれる新しい政党の実 現を模索すべきではないかと考える。
回答:石川常任理事
ご指摘の諸点を検討して、日本医師会として 国民の命と健康を守る立場から、様々な問題に ついて適切な提案をしっかり行っていく。特に 本日より交渉開始と伝えられているTPP につ いては、国民皆保険制度に大きな懸念があるの で、詳細な情報収集を始め、すばやく対応して いく所存である。日本医師会は、公的医療保険 制度の3 つの柱である国民皆保険、現物給付、 フリーアクセスの維持が国民医療を守る条件と 考えている。したがって、社会保障について必 要な重点化と効率化を進めていくべきだと考え ているが、我国の経済成長を取り戻し、社会保 障の財源を確保して地域の実情に応じて手厚く 配偶されることも大切だと考え、引き続き政府 与党に働きかけていく。執行部においては、様々 な時局の課題に対して適時適切に取組み、議論 を行い、必要に応じてスピーディーに医政活動に転換している。また、各種会内委員会活動の 中でも日頃から解決に向けた取組みを行っている。
新たな政治情勢の中、政治に対する直接的・ 間接的な取組み方に関しては、日本医師連盟に おいて会員の先生方のご意見を汲み上げて十分 に議論し、結論を出していきたいと考えている。
<提案要旨(抜粋)>
5 月に、生活保護の後発医薬品のさらなる使 用促進を図ることから、一般名処方や、後発医 薬品への変更を不可としていない場合、原則と して後発医薬品を使用する取扱いとなる旨が通 知された。それにも拘わらず、先発医薬品を希 望する受給者に対しては、指定薬局において一 旦先発医薬品を調剤し、事情を確認し、福祉事 務所へ伝達するものとされており、明らかにそ の理由に妥当性がないと判断される場合は、受 給者に対する福祉事務所が行う指導の対象とす ることとなっている。生活保護抑制の方向は理 解できる面もあり、これらを端緒としてフリー アクセスを減速させる傾向になることへの懸念 をもつが、日医の見解を伺いたい。
回答:鈴木常任理事
本件について日本医師会では、昨年度から実 施している後発医薬品を一旦服用することを促 す検証が十分になされていない状況において医 療の差別化と捉えかねないことがあることや、 生活保護制度を悪用するのではなく、やむを得 ず生活保護受給者となっている方々への医療の 制限と受けられることを厚労省へ指摘し、容認 はしなかった。しかし、生活保護受給者の方が 金額ベースで約1%低くなっている後発医薬品 の使用割合を医療保険全体と同様のレベルまで 引き上げたいとのことであったが、時間的制約 もあり通知の発出は黙認した。
生活保護制度の見直しは三党合意によって社 会保障制度改革推進法の附則に不正受給に対し て厳格な対処を行うことや、生活扶助、医療扶助の給付水準の適正化、保護を受けている世帯 への就労促進を明記され、社会保障審議会生活 困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の 議論を踏まえた上で、先の国会において生活保 護法の一部改正案が生活困窮者自立支援法案と 共に提出された。
その中で医療扶助の適正化の項目としては指 定医療機関への指定取り消し要件の明確化と6 年ごとの更新制が導入されたこと、医師の医学的 知見に基づき、後発医薬品を使用できると認めた 者については、可能な限り後発医薬品の使用を促 すというものであったが、結局廃案になった。秋 の臨時国会に提出し成立を目指すと聞いている。
医療扶助の適正化については、社会保障審議 会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別 部会の報告書にあったとおり、一部には医療機 関への重複受診や医薬品の横流し不正や不適正 な受給があることが指摘されているため、実態 を踏まえた対策を講じることは必要であるが、 適正だけが強調されると生活保護受給者の生活 が脅かすことになりかねず、十分な配慮が必要 であると考えている。
ご指摘のある受給者の薬局を1 か所に限定す るかかりつけ薬局制度については、現在詳細を 確認中であるが、必要な調剤を受けられなくな ることがあってはならない。適切に対応してい きたい。また、当然のことながら生活保護受給 者の必要な受診が抑制されるようなことがあっ てはならない。今後ともフリーアクセスを配慮 しつつ、生活保護受給者が適切な医療行為を受 けられる権威の侵害しないよう注視しながら対応していく。
<提案要旨(抜粋)>
医師が健康保険に加入するには、
勤務医も開業医も、医師が開設する医療・介 護施設で働く職員も、等しく一つの保険に加入 することで一体感が生まれるのではないか。
昨年3 月「医師会将来ビジョン委員会」答申 において、保険者の一本化の提案の中で医師国 保組合のあり方にも言及し、役員の職務分掌の 中に「医師国保」が加えられた。
しかし、今のように国庫補助を受けながら安 い保険料のまま、診療報酬の値上げを口にする のは虫のいい話ではないか。「医療界は、補助 金を返上して健保組合を作ろう」と説かれる方 もみえるが、いろいろな可能性を探ることも肝 要かと考える。
全国医師国民健康保険組合連合会では、国保 問題検討委員会で議論を交わしており、日医で も会内に保険組合に関して検討する委員会を設 置することを提案する。
回答:小森常任理事
ご承知のとおり医師国保は47 都道府県に設 置されており、都道府県医師会と密接し、会員 はもとより、従業員の福利厚生に極めて重要な 役割を担っている。
設立から半世紀もの長きに渡り、医師国保組 合員は地域住民の健康を守るという責務を果た すと共に、相互扶助精神と連帯意識による高い 保険料収納率をあげ、自家診療における保険請 求を自粛する等自助努力を重ね、健全な運営に 努めていただいている。
しかしながら、政府部会が医師国保への国 庫補助金定率分の廃止を含め、検討されてい ることはご高承のとおりである。日本医師会 としては医師国保の重要性に鑑み、本年度か ら役員の職務分掌に医師国保担当を定めたと ころである。
三重県医師会が提案されたように、現在定期 的に開催している医師国保問題検討会という形 式ではなく、本会の中に保険組合に関して検討 する委員会を設置することについては、執行部 でも十分検討させていただきたいと考えている。 なお、この問題については都道府県医師会のよ り一層のご理解とご協力をお願い申し上げる。
高杉常任理事
この行動は元々、日本の医療を支える全国の 医療機関、医療従事者、医療団体が、職種や専 門分野を超えて連携、協力し、患者さんの安全 を守り、患者さんと医療者が安心して治療に専 念できる医療環境づくりを促進することを目的 としている。この4 月に一般社団法人となった。 日本医師会としてはかねてからこれを応援して いる。事業目的は、以下の5 つとなっている。
また、参加については大きく二つに分かれて いる。一つは、この法人の目的に賛同する会員 (正会員・賛助会員)があり、もう一つは施設 として登録する方法がある。
医療には様々な職種が存在するが、この職種 の壁を越えた取組みとして医療安全を求めるツ ールとしてご活用いただければと思う。
石川常任理事
現在、日本の各地において医療情報連携とい うことで、様々な取組みが行われている。全国 には170 〜 180 の取組みがあり、約半数がう まくいっていないようである。先日のネット選 挙でも見られたように様々なところでIT 化が 行われていることを反映していると思う。
一方、先日グーグルメールであったように診 療所のカルテが他者から閲覧できることについ て疎い部分も出てきている。よりセキュリティ を高く情報連携を行わなければ、国民の信頼は 得られないと思う。そこで日本医師会では医療 情報連携のIT 化を進めると同時に、一つの基盤となる日本医師会認証局を検討してきた。
まず、偽医者を防ぐ意味で、利用イメージ (認証)としては、IC カードを読取機に挿すと パソコン画面上にパスワード入力画面が表示さ れる。パスワードを入力したら、画面前にいる のは国家資格を持つ医師であるということにな る。また、このIC カードを持ってないと医師 ではないということになる。利用イメージ(電 子署名)では、コンピュータで紹介状、診断書、 主治医意見書、処方箋など医師の署名・捺印の 必要な文書を作成した場合に利用できる。電子 署名することで、紙に印刷して署名・捺印しな くてもよくなり、電子的な署名の効力は、電子 署名法で保証されている。
日本の医療連携をよりセキュリティを高くす るための一つの例として熊本大学病院を挙げる と、通常は電子カルテの業務は外から侵入でき ないように閉じられた環境でやっているが、何 百人といる先生方の中には、外勤で当直される 先生方もいると思う。自分の患者の状態や検査 データが心配だという時にこの認証カードを使 い、外から熊本大学の画像などを見ることがで きる。また、地域医療連携の例からすると、あ じさいネットは病院に紹介した患者の経過を主治医が見ることができる一方向の特化したネッ トである。最初は先生方の顔が見える範囲であ ったが、二次医療圏を超えると誰が見ているの かわからなくなる。このような時に認証カード を使用して医師であることを証明し病院のデー タを見ることができる。
現在、厚労省では電子処方箋について取組ん でいる。この件についてはまだまだ問題がある ため執行部として賛成はしていないが、仮に電 子処方箋が実現することになれば、認証局に薬 剤師を配置しなくてはならない。認証局の事業 概要としては、医師資格を証明する電子証明書 (IC カード)の発行事業、認証局を活用するセ キュリティを確保した医療IT 基盤の整備事業 である。今後の事業スケジュールとして、本年 度内にIC カードを5,000 枚、平成26 年度に は20,000 枚、平成27 年には35,000 枚発行す る予定である。カード発行の際、会員は必ず郡 市区医師会・都道府県医師会において対面審査・ 原本確認を行い、認証局へ取りまとめていただ く。また、非会員の先生方に対しては、同様に 対面審査・原本確認を行い、病院において取り まとめていだく予定である。
お知らせ
暴力団に関するすべての相談については、警察ではもちろんのこと、当県民会議でも応じており、専門的知識や経験を豊富に有する暴力追放相談委員が対応方針についてアドバイスしています。
暴力団の事でお困りの方は一人で悩まず警察や当県民会議にご相談下さい。
●暴力団に関する困り事・相談は下記のところへ
受 付 月曜日〜金曜日(ただし、祝祭日は除きます)
午前10時00分〜午後5時00分
TEL(098)868−
FAX(098)869−8930(24時間対応可)
電話による相談で不十分な場合は、面接によるアドバイスを行います。
「暴力団から不当な要求を受けてお困りの方は
・・・・・・・悩まずに今すぐご相談を(相談無料・秘密厳守!)」
財団法人 暴力団追放沖縄県民会議